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第6話 出会い②〜side秋斗〜

「てかさ、HINAは彼氏欲しい系?」

「あ、はいっ、それは、あの、いつかは……」

ぶんぶんと頭を縦に振るHINA。経験もないっていうから、BLみたいな淡い世界を期待してんだろうな?現実そんな甘くねぇって。

 「男同士で付き合って、どうすんの?結局は、性欲さえ満たされたら、満足じゃない?男同士で付き合ってたって、何の未来もないだろ?」

「あ、えっと、そ、そうです、かね?お、俺は、誰か大切な人が、側にいて、支えてくれたり、支えたり、それが生きていく力になるっていうか、って、俺も付き合ったこと、なくて、よくわかんないんです、けど。」

「しーーーー。わかんないなら、わからせてあげる。ラブラブハッピーエンドなんてね、HINA、そんなんドラマの見過ぎ。その後どうなるか、考えたことある? 男同士なんて、欲が吐き出せたら、それで解決だけなんだよ、結局ね。……まぁ、こんな話終わりにして、今夜限りの出会いなんだからさ、そんな緊張しないで、楽しもうよ」

HINAのTシャツをまくりあげ、唇以外の身体の隅々に口付けていく。

「わっ、えっと、あ、そのっ!」

ジタバタと身体を動かすHINAを入り口入ってすぐの壁に押し付けた。

緊張からか汗ばみ、蒸気する肌の感触を楽しむ。

「わっ、えっ!あ、あのっ、こ、ここで!?」

HINAの前にしゃがみこむと、慌てたように俺の頭を両手で押し返そうとする。その手には全然力が入っていなく、何の抵抗にもなっていない。

足元に絡まるジーンズが上手く足枷となってくれている。

「ま、まって、や、そんなとこ……っあ!」

俺の動きに合わせてイヤイヤと頭を振りながら

一度目の熱を俺の口の中に吐き出した。

HINAの顔は耳まで真っ赤に染まり、目には涙を溜めとろんとしている。甘い声が耳に残る。たまんねぇ。綺麗な顔が感じている表情だけでぐっとくる。

華奢なHINAには大きすぎるベッドへと押し倒し、自分の邪魔な衣服を全て脱いでベッドサイドのテーブルの上に適当に置いておく。

休憩時間は2時間だ。あっという間にまた着替えなきゃいけない。束の間の裸の付き合いだ。

HINAのTシャツも脱がせると自分の服の上に放り投げた。うん、合格。細いけれど、ガリガリではなく、程よく抱き心地の良い綺麗な身体だ。腹筋の薄く入った筋がエロい。

ショルダーバッグから取り出したローションを右手に纏わせる。本人と恐らく俺しか触れた事のない場所を探る。

「んっ!……んんっ」

「んーー、これは、きついなぁ、」

ぼそっと呟くと

「っご、ごめんなさい。準備、で、できてません、でしたか?」

 すでに赤いHINAの顔がますます赤くなる。いや、準備とかの問題じゃない。

正直この状態では、自分のこのはち切れそうな熱を挿れるのは相当難しそうな締まり具合だ。

今まで、経験数の多いネコとばかりしていたから、そこの違いが歴然だった。

まぁ、何なら初体験で上手くできるなんて、それこそBL世界の夢物語だけどな。

不安な表情を和らげようと首筋に口付けるだけで、身体が跳ね上がる。

俺の与えた快感に、素直に反応するHINA。本当、いちいち反応が可愛い。

最後まで無理やりするには勿体無い、かなりの優良物件だ。今日はこのままお互いの熱を吐き出して気持ち良く終わろう。

目をつぶって、次の与えられる快感に必死で耐えようとしているHINAの両手に2人分の熱を握らせる。

HINAの手を包み込み、上下に動かした。

耳に届く水音が興奮を高めていく。

「っあ、……だめっ、も、もうっ……っんんんっ」

HINAの腹筋がびくびくっと痙攣する。固く目をつぶり、いやいやと頭を振るHINA。

表情、仕草全部がエロい。HINAの乱れる姿を見ているだけで俺の下半身もずんっと重くなった。

はぁ、はぁ、2人の荒い息が部屋中に響き、しばらく肌をくっつけ合ったままその息を整えた。

「はぁ、はぁっ、はぁ……」

「ふぅ、っありがと、HINA。今日はこれで、終わろう」

「えっ……!?」

目を丸くしたHINAはまだ達した余韻が残ったままの、赤くほてった身体を焦ったようにばっと起き上がらせた。

「な、なんで。あの、やっぱり、だ、だめでしたか?あの、何かおれ、失敗しましたか?ご、ごめんなさい、」

余韻なのか、焦りからなのか、目が赤くうるうると潤んでいる。やばい、泣くなよ?……なぜか俺は焦った。

「いや、違うって。HINAは何も失敗なんかしてない。今日はこれが限界ってだけ。初めてで最後までって方が普通に難しいからさ。」

焦ったように腕にしがみついてくるHINAの頭をぽんぽんと優しく撫でる。ホッとしたようで、でもどこか悲しそうに俯くHINA。いや、俺何も間違った事言ってないし。HINAの身体を守るために言ってんだかんな?わかれよ?

って、何俺心の中で必死に言い訳してんだよ。

「やっぱり、いきなり最後までって、難しいんですね……そっか……。そっかぁ……」

あれ?俺、何言おうとしてるんだ?え?

「HINA、来週、また会おう」

おいおい、何言ってんだ、俺。一回だけって決めてただろ?

「え……えっ!?ま、また、会ってくれるんで、すか?」

ほら、困ってんじゃんHINA。さっき俺から今夜限りとか言ったくせに。おい、なに言い出すんだ?俺。

やべぇ、口が勝手に動く。

「初体験、したいんだろ?そっちの条件クリアするまで、付き合ってやるよ。」

「あ、ありがとうございます!てっきり、俺が出来なさすぎて、嫌になられちゃったのかと、あぁ、良かった、ありがとうございます!」

手をぎゅっと握られて、泣きそうな表情のHINAを思わず抱きしめたくなった。その手が肌に触れる寸前で、空を泳いだ自身の左手をぎゅっと握りしめる。

いやいや、子どものご機嫌取りじゃないんだから、抱きしめるとか、おかしいだろ。

なんだ、俺、今日おかしいわ……。

頭を冷やすため、作り笑顔を引き攣らせるHINAを必死で見ないようにして、シャワールームへと逃げ込んだ。

何、俺……

来週も会うとか、言っちゃってんの?

処女に勘違いされて拗らせたら厄介だろ?しっかりしろよ、俺……。先程から胸に湧き上がってくる、よくわからないふわっとしたものに、しっかりと蓋を閉めた。

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