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第3話 連絡③〜side秋斗〜


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俺、男が好きなんだ。

そう気がついたのは中学二年生になったばかりの頃だった。

周りが女子の胸の膨らみににやにやしたり、彼女ができただの、兄がいる奴らが兄からくすねたエッチな雑誌を昼休み中にこそこそ見たり、親に内緒でオカズどこの観てる?だの…全く興味がなかった。

興味があったのはそれらを話している同級生達の下半身や、テレビやSNSで出てくる着飾った綺麗な男たち。着飾られた服の下をどうしても想像してしまった。

見てみたい、他人のそこを見てみたい。抑えられない欲求だった。体育の着替えの時にこっそりパンツ姿を盗み見したり…、トイレはついそこを見てしまいそうになるし、うっかり反応なんてしないように細心の注意を払っていた。

こんなのダメだ、いけない事だ、と自分に言い聞かせて着替えは誰よりも早くして教室から移動したり、トイレも授業が終わると同時に掛け込み、誰もいない時を狙って入った。 そんな俺を見て、クラスメイトは「あいつ何でいつも急いでるんだよ」「何かに追われてんじゃね?」とコソコソ話していた。うるさい。お前らに俺の気持ちなんか一生わかんねぇよ。

高校生になり、ますます俺は男を、綺麗な男を抱いてみたい、と思うようになった。男のつい出てしまったような高い声に興奮する。綺麗な男のそこに自分の熱を挿れてみたい。動画でしか観たことのないゲイの世界に、どんどんとのめり込んで行った。

 でもそんな考えや、自分が男が好きだなんて、親や同級生達にバレたら人生は終了だ。だから必死に隠した。

周りのノンケ達の話についていけないこともあり、自分の性癖がバレないようにとぶっきらぼうにしていたこともあり、高校でもほとんど友だちなんていえる友だちはできなかった。

部活だって、隣のクラスの担任のイケメンが顧問をしているからバスケ部に入ったけれど、この下心がバレるのが怖くて、結局1年の夏に辞めた。 その顧問も結婚間近な彼女がいるらしい。ふん、みんな結局ノンケなんだよ。ゲイなんて、現実世界にはそうそういやしない。

まるでこの世界には俺だけのような気がしていた。俺だけが異質な存在なんだと思っていた。

 でも、親にそんな事を知られて悲しませたくない。その一心で勉強は頑張った。成績さえよければ親は心配しない。大丈夫、俺のこんな思い、邪な想像、俺の心の中にだけ留めておこう。

そう心に決めた。

周りの奴らみたいに彼女だの、デートだのセックスだの、無縁の俺は、想像世界の中だけでも彼氏が欲しい……と、俺の中の理想の男を日々探していたが、高校にも、バスケを辞めたと同時に始めたバイト先の弁当屋にも現れなかった。

女なんかに全く興味もない俺に、香水くさい臭いを振り撒いて身体を近づけてくる年上の女には鳥肌が立った。

わざわざ告白してきた女達に断りを告げると、一回でいいから付き合って、抱いてほしいなんて言ってくるキモい女も何人もいて、ますます俺は女が嫌いになった。近づかれるだけで、拒否反応が出て後退りしてしまう。

大学に入り、流石にこの大きな世界にはゲイがいて、出会いの一つや二つあるのかと思って少しの期待をしていたが、ぎっしりつまった講義とバイト、高校卒業と共に、なんとか親を説得して一人暮らしをOKしてもらえたアパートにへとへとで帰るという毎日のルーティンで…出会いなんか一つも無かった。

なんなら構内で何人かの女に言い寄られて困り果てていた俺に「さすがヤリチン、女とっかえひっかえらしい」だの、なんとも不服な噂をつけられた。そんなクソ共を睨み飛ばしたら、その後は友だちすらまともにできない大学生活。

なんも面白くない。

何で大学にいるのかもわからない。

就きたい仕事も特に無い。

何が楽しくて生きてるんだろ、俺。

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