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第29章 即死系デストラップってアリですか?②


「おー……無茶苦茶リアルだな……」


 俺は早速、6番街の舞台、「来史商店街」に降り立つ。ゲーム自体はこの商店街の1本道の中で異変を探すだけだ。なんてことはない、なんてことはないのだが。


「この商店街営業してんのか?」


『ほとんど廃業してるやで』

『これで営業してたら驚きだよ』 

『廃商店街ってすんげー不気味だよな』

『こyこy』


 俺は若干ビビりながらその商店街を進んでいく。今はゲームが始まる前の、正常な商店街を見せてくれるターンなのでなにかに襲われることはない。


「襲われなくても十分こえぇって」


 早くもうぃんたそに茶々入れに行きたくなるぐらいには不気味だ。そうして、俺は商店街の雰囲気をやんわりと覚えたり、ところどころ降ろされたシャッターに掲示してあるポスターに書かれてる番号やら宣伝文句やらを覚えて、とりあえず正常な商店街を抜ける。

 商店街を抜ければ、俺はいつの間にか再び商店街の入り口に立っていた。さっきと違うのは商店街の入り口に看板が立っていること。その看板に0と書かれていること。


「おし、此処から異変捜索だな……」


『異変がない場合もあるから注意やで』

『勝ってうぃんたそと鍋や~~~』

『鍋の様子も配信キボンヌ』

『ワイらもUtubeの前で鍋食うやで』


「鍋の様子の配信なあ……いや、家庭用赤鍋さんを買ってきてやる手はあるか?」


 そう言いながら俺は歩を進めていく。今のところ大きい異変はない。上を見たり、下を見たり。ただただ不気味な雰囲気の漂う、さっきと変わらない商店街だ。でも、最初から異変なしなんてあるか?と思いながら俺が振り向けば———。


「うわあああああああああッ」


『あ』

『「い」るな』

『まあまあ、ただの異変なんで』

『戻れ戻れ』


 振り向いて、視線を上げた矢先。そこには釣り看板に垂れさがる大量の……明らかに一人分ではない毛髪の量。


「いやいやいや、あんなのはなかった、絶対になかったぞ……!」


 俺はバッ、と視界を下ろして、その気持ち悪い物体を見ないように来た道を戻る。流石に、異変過ぎる。そうして、商店街を戻れば商店街の入り口にまた立たされる。俺の隣に立つ看板のカウントが1になっていたことでどうやら正解したらしいことを知る。

 俺は気味悪いモノを見た視覚的感触の悪さを誤魔化したくて、うぃんたそと会話をするためにうぃんたそとの通話専用チャンネルにINする。


「うぇーい、うぃんたそはどうだ?俺は早速1個目正解したぞ~」


『たかだか1個で報告しに行くなwwww』

『うぃんたそ大好きかwwwww』

『うぃんたそ好きすぎで草wwwwww』

『ちなみにそんなうぃんたそですが……』


「え、うぃんたそ今3週目突入したところだよ?」

「ほわ⁉……え、早くね?」

「早くはない、と思う!え、で、まだ、1週目の秋城さんは煽りに来て大丈夫?降参する?」


 おおう。うぃんたそとてつもなく煽ってくる。


『うぃんたその天然煽りきたね~』

『そうか。こういう耐性うぃんたそはあるけど、秋城微妙になかった希ガス』

『これはうぃんたそ有利か?』

『秋城の敗北濃厚』


「く、う、降参はしねー!うぃんたそが悲鳴上げてないか見に来ただけだし?」


 精一杯の強がり&精一杯の煽り。推しを煽ることの難しさよ……この世にはキュートアグレッションなる言葉があるらしいが、可愛すぎて加害したいはマジで理解できねーなという気持ちになってしまう。


「え~、ホラー耐性ない秋城さんのことだからビビッてうぃんたそに泣きついて来たのかと思った~!」


 その通りです!というか、うぃんたそレスバ強い。普段どれだけ言葉の刃を仕舞われてるか身に染みてしまう。


「は、は、は……じゃあ、またあとでな~」

「うん、また後で~」


 そうして、俺はうぃんたそとの通話専用チャンネルから抜ける。


「思い出した、うぃんたそってレスバ強かったんだ……」


 俺はしおしおとしなびた表情を浮かべながらそんな言葉を零す。プロレスレスバ最強だよ、ほんと、忘れてた。


『秋城に対してあまり悪態つかないからね』

『普段甘やかされてるんやな』

『甘やかされてる分煽られると刺さるんやろな』

『でも、うぃんたそも今配信で呻いてるよ?』


「え?」


 俺はコメントからもたらされる情報に疑問符を浮かべつつ、配信されているうぃんたそ枠の映像の音をオンにすれば———。


「あああ~~~~……凄い強気に秋城さん煽っちゃったよぉ……やっちゃった、やっちゃった……。き、嫌われてはないと思いたいけど~~~~……」


 え、なにこの激レアうぃんたそ。


「でもそういう趣旨だもんねえ……配信前に頑張って煽る宣言もしたし……大丈夫だよね?あ、異変!」


 心配事はありながらも手は動いているうぃんたそすげー。というか、そうか。うぃんたそも心配とかするのか。でも、そんな感想より口から零れ出るのは紛れもない本音であった。


「うぃんたそが可愛すぎて辛い」


『分かる』

『これは悶える』 

『秋城、心拍大丈夫か?』

『もうこのうぃんたその言葉聞いてるだけでいいよな』


「心拍は死ぬほど上がってるのでもう駄目かもしれん。死因はキュン死ってうぃんたそに伝えておいてくれ」


『死ぬなwwwwwwww』

『次の転生は何年後ですか?』 

『真顔でとんでも発言をwwwww』

『うぃんたそに業を押し付けるな』


「ふう。さて、うぃんたそに負けないようにゲームに戻るか」



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