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のんびりしたい「男廃妃」は、やがて皇后になった。
紅創花優雷
BLファンタジーBL
2024年07月15日
公開日
81,988文字
連載中
文・絵/物語創作者◆紅創花優雷
    @rai11personalit


――【中華王宮BL】皇帝×男廃妃の、ほのぼの(?)スローライフ(?)系物語——

ドラマ「廃妃秦景楓」は、絶賛撮影中の中華王宮BLモノ。
その主人公と同じ名前のである秦景楓(ちんけいふう)は、作中のモブ役として撮影に参加をしていた。
その日の撮影も終盤、後少しで終わりとなったその時、秦景楓は謎の爆発に巻き込まれ意識を落とした――

まるで死後の世界のような不思議な空間で、「移転システム」と名乗る謎の機械音に告げられる。

『要求――アナタには簫司羽(しょうしゅ)を攻略し、五千ポイントを取得していただきます。
 務達成の暁には、アナタを元の世界に生き返らせましょう』

生きたいと願う秦景楓は、その任務を受ける事にした。
そうしてドラマと同じ世界観の中に「秦景楓」として目覚めた秦景楓。
しかし、皇帝たる簫司羽の攻略はそもそもクリアさせる気があるのかと疑うレベルに困難で、入り口にすら立てない。
そんな時にポイントの運用を知り、秦景楓は思いついた。

(ここでポイントを稼ぐ事も出来るなら、何も簫司羽の攻略はしなくてもいいのでは……?!
 今の所、ほぼ無理ゲーだもん。それなら、作物とか育てて地道にポイント稼いでいった方が確実では?)

こうして彼の「庭造り」が始まった。目指せ、桃源郷!
しかし、運命はそれを許さず――?

※こちらの作品は、ネオページ様公式よりいただいたご依頼に基づいて作成しております。
 作品の一部あらすじは、ご依頼によりご提供いただいたものです。



【序章】「小景」

小景しゃおけい……ママはね、もう小景と一緒にいられないの……」

 一人の女は、息も絶え絶えに、震える手を伸ばして小さな子の頭を撫でた。

「だけど小景、あなたは、独りじゃないのよ……必ず、あなたを愛してくれる人がいる……ママはね、小景が心から愛せる人と、幸せになってほしいな……だから、ママの事は忘れて、生きて。幸せになって……ママの我儘、きいてくれる?」

 蝋燭は既に短く、灯された火は弱く揺れていた。暗がりのお陰か、せいと言うべきか、涙を流す彼女の顏が幼子の目に映る事はなかった。

 小さく丸い手が、母の手をギュッと握る。

「わかったよ、ママ。ぼく、いきるよ。がんばっていきて、しあわなる! だけど、ママはゼッタイ、わすれないから、ママのぶんも、あと、パパのぶんも、いきるから!」

「ふふっ……ありがとう。わたしの、かわいい小景」

 頬を撫でたのを最期に、彼女の手は力を無くしベッドに沈む。

 風に吹かれた灯火は、敢え無く消えた。

「うん。ぼく、いきるよ……」

 小さな手に籠る力は弱く、幼い彼は知らぬ感情に声を上げ、涙を流す。

 それが、彼の最後に零した涙だった。

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