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おまけ 小鬼レポート1

 どうも、小鬼です。名は岩地がんじと言います。少々調子に乗って人間を食おうとして、逆に殺されそうになって助けられました。

 この場所はとても恐ろしいです。弱い奴らを食らって大きくなっていた時は分かりませんでしたが、今は分かります。

 鳥羽さん、気配がしません。幽霊なんで特にです。なんだかとても得体が知れません。幽霊ですけれど。

 九郎丸さんは真逆で、もの凄い存在感です。なんだか、猫に追いかけられるネズミの気持ちがよく分かります。

 何より怖いのが巫女姫様です。頭につけている金冠、姫の気を損ねるとキリキリ締まります。頭割られるんじゃないかと不安があります。

 その中で悠様だけはとてもお優しい気がします。

 先ほど、「有難う」と言って唐揚げを分けてくれました。一緒に霊力も分けて貰えて、元気が出ました。

 それにしても、悠様は隙の多い人だと思います。甘いです。おはぎに生クリームを絞って上にのっけてアイスを添えたくらい甘いと思います。

 まず、襲ったオレを殺さなかったのが甘いです。妖の世界ではありえません。

 だからこそ、オレは悠様にとても感謝しています。

『ね~ぇ~。悠とその黒田って人って本当になんでもないの?』

 鏡の巫女様は、なんだか期待の籠もった声で言っております。どうやら、BL的展開を期待している様子です。

「これがな、ないんだよ。いや、多分だが黒田の旦那はそういう気持ちもあると思うんだぜ? だが悠の方がまったくでな」

『そうなの! 少なくとも片方はその気なのね! いや~ん!』

 そうなのですか。悠様、もしかして危険なんですかね?

「そういう関係ではありませんが、悠様も黒田さんを慕っておりますよ」

『そうなの~!!』

 巫女様、とても嬉しそうです。

 オレはお茶を淹れて皆様に配って、悠様のお部屋に顔を出しました。既にお休みのようですが、冬が近づくにつれて寒くなって参ります。覗くと、お布団をはねのけておりました。

 お布団をどうにか戻し、お側に水を用意して戻ってみると、鳥羽さんだけが起きておりました。

「おや、どうしました?」

 小さくなって声も小さくなり、残念ながら悠様には聞こえなくなってしまったようです。それでも『悠様の様子を見て参りました』と伝えると、鳥羽さんは「そうですか」と返ってきた。

 正直嬉しくて、ちょっと泣きたくなりました。

「それにしてもお前、律儀者で今はいい奴なのに、何故昨夜はあのようになっていたのですか? それに、小鬼にしては随分と力をため込んでいましたが」

 オレは、ひたすら何でも食べた事を伝えた。食べて強くなれば鬼神にだってなれると、通りすがりの妖が教えてくれた事を伝えた。

 すると鳥羽さんは呆れた顔で溜息をついた。

「気が変容するほど妙なものを食べてはいけません。思考や人格まで歪みます」

 それは身をもって知りました。反省しています。

「まぁ、ここに居ればそのような事もないでしょう。悠様、かなりお人好しですからね。お前の事も大切にしてくれますよ」

 困った顔で笑う鳥羽さんは、そのくせとても優しい顔をします。

 それにオレも、その通りだと思います。お人好しな悠様へ、いつかこのご恩をちゃんとお返ししたいと、そう思うのです。

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