目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第37話

 復興もかなり進んで、穏やかな日常が戻りつつあるそんなある日のこと

 私達いつもの3人は、近くにあるトカル遺跡と言う場所に来ていた

 この遺跡は1000年ほど前に栄えた王朝の主要都市だったみたいで、少し前まで古代遺物やマジックアイテムが出土してたみたい

 もうすでに調査しつくすされた遺跡で、新しい発見はない

 そんなトカル遺跡では最近コボルトが住み着いたらしくて、本来なら冒険者に討伐依頼が出るところを、冒険者達は出払ってるらしくて、騎士に討伐要請が来たってわけ

 まあコボルトはそこまで強い魔物じゃないし、ゴブリンより少し強いくらいだから大丈夫

 いえ、安易に考えちゃ駄目ね

 何者かが動いてるって話だし、コボルトにも何か変化があるかもしれない

 報告では一般的なコボルトだったみたいだけど、油断はしない

 それにコボルトはゴブリンやオークのようにヒト族を攫って交配はしないけど、ヒト族を食べることもあるし、ゴブリンほどじゃないにしろ、繁殖力も強いからあっという間に増えちゃう

 放っておくと一般市民に被害が出るかもしれないもの

「いました、コボルトです」

 フィルが探知でコボルトを見つけてくれた

 遺跡の最奥の城跡地

 そこに固まっているみたい

「集落みたいなものを築いていますわね。一網打尽にできましてよ」

「うん、警戒しながら近づいて、ミリアの魔法で一気に殲滅しよう」

 隠密用の魔法をミリアにかけてもらって、かなり崩れて雨くらいしかふせげない城跡地に近づく

「キャンキャン」

「ワフッ」

 コボルトたちの声がする

 様子を見ると、魔物の骨が転がっていて、どうやら狩りをして暮らしているみたい

 幸いにもここは街道から離れてて、人はまだ襲われてないみたい

 でもそれも時間の問題

 私達が気づかれないように全体が見えるちょっとした高台に登ると、コボルトたちの中心に小柄なヒトが立っていた

「まずい、誰か襲われています!」

 私はすぐにでも助けれるよう、カズマさんにもらった剣に手をかける

 でも小柄な人は襲われる気配がない

「レナ、あれを見てください」

 その人は懐から何かを取り出し、リーダーっぽいコボルトに薬瓶を渡した

「グギュルルルル」

 リーダーコボルトはそれを受け取って一気に飲み干す

 すると薬瓶を取り落とし、それはガシャーンと大きな音をたてて割れた

「ガルルルル、グルルル、ウガアアアアアア!!」

 リーダーコボルトは倒れ、そのまま動かなくなった

「エグルル、ガルラウルルル」

 声は、少女の声

 その少女はコボルトの言葉で彼らに何かを言っている

 そしたまた薬瓶を大量に取り出すと、それを配ってコボルトに飲ませた

 全てのコボルト、子供や赤ん坊に至るまでがそれを飲み干し、一斉にもがき苦しみ始めた

 全コボルトが倒れ、動かなくなる

 そして1分ほど経った頃に何匹かが立ち上がった

 その体毛は黒く染まっていて、少し知性ある顔立ちに変わっていた

 これは、あの時ファンファンが言ってたことに間違いない

 あいつが犯人だ!

 とんでもないものを見てしまい、フィルたちに目くばせでひとまず撤退して報告することを決定すると、その場から離れようと立ち上がった

 その時突然少女がこっちを向いた

 顔はフードに隠れてて見えにくいけど、少女はフードをファサッととって顔を見せた

「敵、見つけた。お前たち、あいつら捕まえて。実験材料、するから」

 黒いコボルトたちは少女にお辞儀をすると、こっちをにらみつけた

「お前はコボルトエアー。お前はコボルトフレア、お前はコボルトアナザー。やれ」

 薬に適合したらしい三匹のコボルトは一斉に走りだして、襲って来た

「仕方ありませんね、仕留めますよ!」

 コボルトアナザーが最初に私達の前にたどり着くと、空間収納らしき裂け目から二振りのナイフを取り出して攻撃してきた

「双剣術、弐分閃(にぶせん)」

 目にも止まらぬ速さで二回斬りつけるヒト族のスキル

 これって、ファンファンと同じく、ヒト族の力を使えるってこと!?

 二撃を剣で受けて流して、斬り返す

 なんとコボルトアナザーはそれを空中で軽々避けて見せた

 なんて綺麗な体捌き・・・

 着地したコボルトアナザーの後ろからエアーとフレアが迫る

 二匹の両掌からはそれぞれ風と炎が湧き上がっていた

 その攻撃はミリアが魔法で防いでくれる

「槍術、双連角(そうれんかく)!」

 フィルは槍でその二匹を貫いた

 この二匹は大したことなかったけど、厄介なのはアナザー

 二匹がやられたのをものともせずに今度はフィルを狙って双剣を繰り出した

 そこを私が防いで止める

「エアバレット!」

 風の弾がアナザーを貫いた

 それなのにアナザーの勢いは止まらず、フィルは辛うじて槍でその双剣を止めた

「火の一閃!」

 私はそこを逃さず、アナザーを切り裂いて倒した

 黒いコボルトたちはそれで動かなくなったけど・・・

 私達は城の中に入り、あの少女の姿を探した

 けどもう、とっくにいなくなったみたい

 あの少女は一体・・・

 でもあの子が犯人なのは間違いないわね

 ひとまず報告のために一旦王都に戻ることにした


 レナ達が去ってから数分後

 コボルトたちの死体の1つがピクリと指を動かす

 そして立ち上がり、森の中へと消えていった


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?