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第30話

 レッドホーン達はブラッドホーンになったわけだが、牝牛たちの方のミルクが、あまりにも美味しすぎた

 アネモネも自分のミルクを提供しようとしていたが、それは丁重にお断りした

 さすがに、気が引けるし恥ずかしい

「そうだアネモネ、君に合いそうな武器を用意しよう。今はまだ以前打って置いてあるものだけだけど、そこから使いやすそうなものを選んでくれ。いずれ君の専用武器も作るから」

「まぁ、なんとありがたい申し出なのでしょう! では遠慮なく選ばせていただきますね」

 アネモネは尻尾をフリフリ、俺の後をついて鍛冶場へとやって来た

 ちなみにファンファンは一人であの花畑に行ったらしい

 書置きが置いてあった

 字は教えたばかりだが、少し読みにくかったもののちゃんとかけていて感心感心

 アネモネと鍛冶場にやって来たが、いつの間にかルカもついてきている

「にゃー」

「何だルカ、お前も選んでくれるのか?」

「にゃ!」

「賢い猫ですね・・・。ジーーーーーーー」

「にゃ、にゃふ」

「本当に賢そうです。まるで猫じゃないかのようですね」

「ハハハ、俺もたまにそう思う」

 アネモネはフフと笑い、武器を見始めた

「ミノタウロスならこの辺りがいいんじゃないかな?」

 俺が指さしたのは、ミノタウロス達が普段使っている手斧や大剣だ

 アネモネは女性だから軽い方がいいだろうと思うんだよな

 彼女もその辺りを見て素振りをしてうんうんとうなづいている

 どうやら手斧が気に入ったらしい

「にゃー!」

 だがそこに異を唱えたのがルカだった

 ルカは奥に置いていた巨大斧や、ハンマーメイスやらをカリカリと引っ掻いている

 これだけ見ればただ爪とぎをしている可愛らしい情景だが、ルカは何か意味ありげに鳴き、しきりにその武器達を引っ掻いているんだ

 だからきっと意味がある

「アネモネ、こっちのほうも試してみてくれないか?」

「大きな斧ですね。それにハンマー?でしょうか」

「そっちはハンマーメイスだ。戦闘もこなす僧侶とかが使うんだが、まあ試してみてくれ」

「はい」

 アネモネはまず巨大斧を持つ

 体躯の大きな種族向けにと作ったから、アネモネにぴったりのサイズだな

「こ、これは!」

 何かしっくりきたのか、肩に担いで、その場で振ろうとする

「ま、待てアネモネ! 外に出て試してくれ!」

 何か嫌な予感がしたから、外の試し打ち場へと誘導し、そこで振ってみてもらう

 ハンマーメイスも一応持って来た

「フン、フン!」

 軽々と巨斧を振り回すアネモネ

 なんか俺の周り、筋力に振ってる子多くないか?

「あれが的ですね? 行きます! パワーセル!!」

 グルンと回転しながら的を斬りつけるアネモネ

 それにより的どころか、その後ろにある木々もなぎ倒してしまった

 やっぱり鍛冶場でやらせなくてよかった

 次にメイスを手に持つと、片手でブンブンと振っている

 それと同時に大きな胸もブルンブルンと揺れていた

 目のやり場に困る

 そして彼女はフーッと息を吐いてからメイスを構える

 壊れた的の隣にあった的に狙いを定める

「地鳴り!」

 地面にドゴンとメイスを穿って、激しく周囲が揺れて地割れが起きた

 的がその地割れに飲み込まれる

「これは、わたくし、長年の相棒に出会えたかのような感動を覚えてますわ!」

 アネモネが使ったメイスにはまだ魔石は組み込んでいないが、それでもこの威力ということは、彼女の自力が強いんだろう

 彼女はメイスに頬ずりし始めた

「わたくしこれに決めましたぁ」

 うっとりとしている

 気に入ってくれたならよかった

 そのうちもっといい、彼女専用のメイスを作るかな

「んにゃーん」

 ルカがまた何かを言い始めた

「あら猫さん、わたくしに何か?」

「にゃ!」

 ルカはしきりに自分の前足を彼女に見せる

「あら、怪我をしていますね。いつの間に・・・。あ、なるほどそういうことですね。フフフ、賢いだけではなく、見抜く力もあるようですね」

「何のことを言ってるんだ?」

「この子、わたくしのもう一つの特技を見抜いています」

「もう一つの特技?」

「わたくし実は、回復魔法が使えるのです」

「おお! それはすごいじゃないか!」

 アネモネがルカの傷を見て、そこに回復魔法をかけた

「ヒール」

 一般的な下位の回復魔法だが、一瞬で傷口が塞がった

「進化したからか、わたくしの回復魔法の威力も上がっているようです」

 ルカは嬉しそうに飛び跳ねている

「フフフ、猫さんもすごいですよ。ここまで感知や探知に優れた猫さんも珍しいですね」

「ああ、俺の自慢の猫だよ」

 アネモネの武器も決まったところでファンファンが嬉しそうに鼻歌を歌いながら帰って来た

 その手には花の冠が握られている

「これ! アネモネにあげる!」

 どうやらアネモネのために作って来たらしい

 なんて、なんて可愛いんだうちの子!

「ありがとうございます主様!」

 俺があげた武器より喜んでる

 嬉しそうで何よりだ


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