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第15話

 あれで、よかったんだろうか?

 俺は、あんなことしかできなかったんだろうか?

 今からでも助けに行った方が・・・

 いや、俺が行ってもゴブリンすらまともに倒せない

 足手まといになるだけだ

「んにゃー」

「ああそうだな、心配していても始まらない。レナ達は強いんだ。信じて待とう」

 家の中をウロウロしている俺をルカがいさめてくれた

 俺は気分を落ち着けるために鍛冶場へ向かう

 鍛冶に打ち込んで気分を紛らわせる

 所詮俺が作った武器程度、レナ達なら簡単に手に入るような代物だろう

 ポーションにしてもそうだ 

 どこにでも売っている

「はぁ、あれでレナ達を助けられるとは思えないが、少しは足しになってくれてればいいんだけど」

 俺は前世の動画サイトで見ていた知識を思い出しながら、刀の鍛造を始める

 熱く熱した鉄を打ちこみながらそれに集中し、没頭し、時間も忘れてただひたすらに打ち続けた


 私は戦場を走ってフィルを探した

「いた!」

 槍でゴブリンたちと戦うフィルを見つけて彼を呼ぶ

「フィル!」

「レナさん! 危険ですから離れて!」

「これを、カズマさんからです」

「これは・・・。ありがとうございますレナさん! ありがたく使わせてもらいますよ!」

 どうやら鑑定でこの槍のすごさが分かったみたい

「槍術スキル、一葬!」

 槍を目の前につきだすと、突き刺した一匹だけじゃなくて、その後ろの数十匹がまとめて貫かれた

「何ですかこの威力・・・。初歩の初歩スキルで、ここまでの威力が出るなんて」

 フィルは襲ってくるゴブリンを次から次へと貫いて倒していく

 私も負けじとゴブリンたちを切り払っていった

「なんて軽くて扱いやすい槍なんでしょう。それにレナ、その剣も」

「ええ、これもカズマさんからもらったものよ」

「じゃあその背中の杖はミリアさんへですか?」

「うん」

「行きなさい。私が道を開きます!」

「ありがとうフィル!」

 大量のゴブリンたちが押し寄せて来るけど、武器の性能のおかげかゴブリンたちは来た傍から倒されていく

 フィルのおかげでゴブリンたちもたじろいで、一本の道ができた

「今ですレナさん!」

「うん! 風魔法、エアダッシュ!」

 風を足に纏って走る

 ここに戻る時にも使ってたけど、なんだかさっきよりもさらに強化されてる感じがする

「うわ、あわわわわ! キャアアアア!!」

 やっぱりさっきよりスピードが桁違いに上がってる

 顔の、顔の皮膚が剥がれそう! プルプルするぅ!!

 私は悲鳴をあげながらミリアのいる城付近へ走った


 わずか数十秒ほどの移動であっという間にミリアの所にまで到着

 逃げた市民を守るために、城を見守りながら隠れてた魔法使い達が見えた

 そして私の元へ駆け寄ってくるミリア

「何か変なものが超高速で向かってきてたから警戒してたら、レナじゃありませんの! 無事でよかったですわ! わたくしももうすぐあなた方の所へむかうところでしたの」

「レナ、無事だったか。あっちの様子はどうだ?」

「はいキール副団長、ギルドマスターが自爆のようなスキルを使おうとしていましたが、なんとか食い止めました」

「なんと、鬼人の種族スキルか。それほどに危険な状況なんだな。だが食い止めたというのは?」

「カズマさんから武器の提供がありました。使用した結果、見たこともないスキルが付与されています」

「武器にスキルの付与だと? そんなまさか・・・。いや、彼ならあり得るのか。それで、ゴブリンの状況は?」

「今フィルがカズマさんの武器で、その、無双状態です。ゴブリンがまるで紙きれのように吹き飛んでます」

「そ、それほどなのか」

「この武器もそうです」

 私は剣を抜いて副団長に見せる

「一見ただの鉄の剣だが・・・。これは、剣の柄に魔石がハマっているな」

「はい、カズマさんはゴブリンのスキルであるエアスラッシュが込められていると言っていましたが、私が使うと空間ごとゴブリンが斬れちゃいました」

「空間が!? そんなもの、聖剣、いや、神剣クラスだぞ」

「私もそう思います。それから、これをミリアにと」

「これは、大杖ですわね。わたくしにですか?」

「うん」

 ミリアは大杖を受け取った

「すごい、魔力が湧き上がってきますわ」

 魔力が可視化されるほどに彼女から吹きあがってくる

 真っ赤で綺麗な輝き

 テンションの上がってるミリアをどうどうと抑えていると、キール副団長が声をあげる

「来たぞ、ゴブリンどもだ」

「フフフ、アハハハハハハ!! 万能! わたくしなんでも出来そうですわ!!」

 ミリアは一人ゴブリンの群れの前に立つと大杖をゴブリンたちに向けた

「大魔法、グランフレア」

 通常大魔法を放つには長い詠唱が必要になる

 それを破棄して、直接放ってる

 直後、ゴブリンに巨大な火が降り注いで、地面ごと焼き尽くした

「あ、ああ、地獄・・・」

「はぁ、快感ですわぁ」

 恍惚とした表情を浮かべ、大杖に頬ずりして腰を振るミリアを尻目に、その場にいた全員が目を点にして口を開き、ただ啞然としてた

「快感じゃないよ! 街をこんなにして! 人がいなかったからよかったものの、あんなの街中に放つなんて何考えてるの!」

「ご、ごめんなさいですの・・・。で、でも、これでゴブリンを一掃できましたわ!」

「でももへったくれもありません!!」

 烈火のごとく怒る私に、ミリアはしょんぼりとしてひたすらに謝り続けてた


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