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俺の生活スキル全てがレベル限界突破した結果、異世界で超人気者に!!
カオリグサ
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年07月12日
公開日
100,126文字
連載中
主人公 浅野和磨(あさのかずま)は異世界へと転生をしたものの、その能力は平均以下
全てを諦め森の中へと引きこもっていた
拾った猫のルカとともに森でのんびりと生活していた最中、突如騎士の少女が小屋へと飛び込んでくる
オークに襲われていた彼女は命からがら逃げ込んできたのだった
自己紹介をして食事をふるまうカズマ
そこで少女騎士は、自身の力が驚くほどに向上し、傷も癒えていることに気づいた
カズマには何かあるとふんだ彼女
実はかつて冒険者時代に一切戦闘スキルが芽生えなかった彼は、生活スキルの全てを取得し、そのレベルを極限まで鍛え上げていた
理由は不明だが、その生活スキルは限界を超えており、通常では考えられないほどのバフを与える効果を得ていた
作った料理は高度な魔法薬に、育てた作物は古代に滅びたような伝説級の食材に、鍛えた武器や武具は聖剣や神剣のような効果を得る
彼を隠れ住む賢者と考えた少女騎士は彼を秘密にし、平和に暮らせるよう守ると心に決めた

自身の力に全く気付かないカズマと、周囲が織りなすほのぼの隠居ストーリー

第1話

「ふう、今日もいい天気だな。畑の様子でも見に行くか」

 俺は農作業用の服に着替え、鎌や手入れ用の道具の準備をして家を出る

 俺は・・・、昔の名前は浅野和磨あさのかずま

 この世界に転生してもう18年になる

「おはようルカ」

「んなーん」

 この猫は三毛猫のルカ

 この土地で初めて会った俺の唯一の話し相手で、大切な家族だ

 日向ぼっこをしていたルカの頭を撫でてから畑を目指して歩く

 まあ家の目の前にあるから徒歩30秒ほどの距離しかないのだが

「お、このトマトもう食べごろだな。こっちのキュウリもいい感じだ。早めに収穫しとかないとキュウリはすぐでかくなるからなぁ」

 独り言をブツブツと言いながら俺は食べごろの野菜を手際よく収穫していく

 自分で作った農具だが、かなり使いやすいな

 気持ちのいい天気にのんびりとした気持ちで農作業を終えると、ルカのために朝ご飯を用意した

 今日のメニューは焼き魚で、小骨は取ってある

 美味しそうにむさぼるルカを見つつ、俺も収穫した野菜や、備蓄しておいた米、取って来た魚で手際よく朝飯を作り上げた

 朝飯を食べながら、少し過去を思い出した

 18年前。前世で俺は病気で死んだ

 若いころに筋肉が段々と動かなくなるという病気になった

 遊ぶことも、まともに動くことすらできない毎日で、両親に看取られながら俺はその生涯を終えた

 だからこの異世界で、生まれ変わったという事実を知った時は喜んださ

 体が動かせる喜び、まともに食事ができる喜び、ただ歩くだけと言うのがここまで楽しいことなのかと

 この世界で生まれてから俺は自分の体で精一杯生きて来た

 この世界は俺が前世でよく読んでいた本のように、魔法があり、魔物がいて、勇者が、冒険者がいる世界だった

 興奮し、俺も冒険者や勇者のように人々のために戦うんだ

 そう思っていた

 だが俺に剣の才能も魔法の才能もなかった

 ただ歩けるだけでうれしかったはずなのに、俺はそこで絶望してしまった

 取柄と言うほどでもない取柄と言えば、生活スキルなどが充実していることくらい

 料理、洗濯、農業や林業。生活のためと鍛冶スキルも一応ある

 戦闘スキルや魔法はからっきし

 こんなのでどう戦えってんだ

 だから俺は引きこもった

 誰もいない森の奥深く

 ちょうどいい具合に日当たりも良く、開けた場所があったため、そこに拠点として家を建てた

 この18年で嫌と言うほど挫折した

 体が動くだけでいい。生活できれば十分だと切り替えて、ここでの生活を始めた

 それに、今は猫のルカもいるし、寂しくはない

 朝飯を終えると食器を洗い、猟に行くことにした

 ここしばらく魚ばかりだったので、肉が食べたくなった

「ルカ、ちょっと出かけて来るから留守番を頼む」

「にゃ!」

 いつもいい返事を返してくれる

 ルカの頭をまた撫でて、自分で鍛えた剣と盾を装備して森の中へ

 この森には魔物だが猪や鹿といったジビエになる生物がいる

 魔物なんて食べて大丈夫なのか?と最初は思っていたが、この世界は魔物も立派な食料だ

 さすがに18年も生活してれば慣れる

 今日は兎か猪を狩ろう

 一応鳥を見つけたときのために弓も持っておいた

 戦闘はからっきしだが、生活スキルに猟に適したスキルもあったのが幸いだったな

 これは戦闘スキルではないため、強い魔物相手だと通用しない

 だが兎や猪程度なら俺でも倒せる

 熊となるとまあ逃げの一択になるけどな

 ここに来てからそう言った危険な魔物も見かけることがあったから、そういう場合はすぐ逃げるようにしている

 勝てるわけないからな

 死んだら終わり。それを肝に銘じておくのが生き残るポイントだ

 森に入ってから30分ほど経ったころ、俺は兎を見つけた

 兎の場合は剣で斬りかかるより弓の方がいい

 まだこちらに気づいていないため、遠くから狙撃出来るからだ

 魔物の兎は二本の角が頭から生えていて、それが前世の世界とは違う世界だと余計に理解させてくれる

 よく狙って、弓を放つ

 当たった!

「よし!」

 兎はその場で倒れて動かなくなった

 この魔物は見たまんま角兎と言う名前で、この世界でも広く一般的な食肉だ

 味も美味く、香草なんかと一緒に焼いて食べるのが一般的だ

「干し肉も作っておきたいからもう二三匹取っておくか」

 必要以上は取らない

 命は大事にしなきゃいけないからな

 それから森を少し彷徨うと、また兎が跳ねているのを見つけた

 今日は調子がいいな

 猪にも会わないし

 ぶっちゃけて言うと猪は突然突進してくるから怖いんだよ

 慎重にやれば倒せるが、かなり疲れるし、できることなら会いたくはないな

 その後順調に兎を見つけて狩り、袋に入れて家に戻った

 成果は予定していた通り三匹だ

 ひとまず二匹は干し肉だな

「見てくれルカ、今日の夜は兎肉だ」

「にゃーん」

 こいつは本当に大人しくて頭がいい

 俺の言ってることを理解しているんじゃないだろうか?

 親ばかかもしれないが、こればっかりはしょうがない

 俺は猫好きだからな

 猫はいい。気ままで自由で、それでいて可愛い

 ルカも多分に漏れずかなり可愛いだろう

 俺は微笑みつつルカを撫でる

 狩りで疲れたので少し休むことにした

 ベッドに横になるとそのまますぐ夢の中へといざなわれた

 そして二時間ばかり寝た頃

 突如扉をドンドンと叩く音が聞こえて来た

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