(おっと……)
感傷にふけりかけた俺は、そっと仏壇の前から立ち上がった。
「瑛斗先輩、すみません。それじゃあ、すぐに戻るんで」
「ああ。もう少ししたら二人に手を洗わせて、ダイニングテーブルへ座らせておくから、理央は急がなくてかまわないぞ」
「ありがとうございます」
(なんか、初めて双子とうちで遊んでくれていたときは、奮闘する新米お父さんみたいだなって微笑ましかったけど、今日はすごく頼もしく見えるなー)
そんなことを考えながら、リビングのドア近くに置いていたスクールバックを肩にかけると、俺は自分の部屋へ向かおうとした。
「あ、理央」
「はい?」
急に瑛斗先輩に呼び止められ、俺は振り向く。
双子に挟まれた状態の瑛斗先輩と目が合うと、にっこりと笑われた。
「愛してるぞ」
「……。えっ……? 今なんて……?」
自分の耳を疑って、俺は思わず聞き直してしまった。
だが、瑛斗先輩のすぐそばで聞いていた双子は、嬉しそうに立ち上がった。
「やっぱり、りおくん、おひめさまだったんだー」
「おひめさまー!」
「そうだ。理央は私にとって、かけがえのない姫だ」
「ちょ、ちょっと瑛斗先輩! ストップ、ストップ!」
俺は必死に制止させようとするが、俺の声なんて聞こえてないのか、聞こえているうえで無視をしているのか、話は俺を置いてきぼりの状態でどんどん勝手に進んでいった。
「じゃあ、えいとおうじ。りおくん、おしろにつれってちゃうの?」
「えー! りおくん、いなくなっちゃうの?」
飛び跳ねていた双子が急に落ち込むと、瑛斗先輩は双子の頭をそっと撫でた。
「いや、大丈夫だ。私は次男だから、私がここに来れば理央も家を離れずに済む。それなら、淋しくないだろう?」
「うん」
「よかったー」
今度は安心して、甘えるように瑛斗先輩へ抱きつく双子を見て、俺は思いっきり叫んだ。
「よ、よ、よくない! お願いですから、真央と玲央に変なこと教えないでください!」
首を必死に横に振っていると、いつのまにか和兄が俺のすぐそばに立っていた。
「なあ、理央。知ってるか?」
和兄が急に肩を組んできて俺のことを引き寄せると、俺の耳元で囁いてきた。
「月宮先輩、教室で育児本読んでいたらしいぞ。新米パパのってやつ」
「う、嘘……」
「しかも『奥さんへの感謝を忘れず、愛を伝えること』ってとこに、マーカーしてたってさ」