そのくいいるような熱い視線から、わたしは申し訳ない思いで視線をそらした。
そらさずにいられなかった気迫が、そらした後もわたしの胸を強く圧迫する。握り潰さんばかりに。
もはや引き受けないわけにはいかなかった。
わたしは聞いてしまったのだから。小屋へ入ることを許し、相手の話を聞くということは、わたしのような占い師にとって重要な意味を持っている。
これは、好奇心を捨てきれず、運命を変えられたかもしれなかった唯一の機会を自ら手放した以上、しかたのないことだろう。
「……わたしには母ほどの力はありませんが、それでも母と同じ結論を導く可能性は高いでしょう」
そっと彼の手を押し返し、わたしは、我ながら墓の下の死人のように冴えない声だと自覚しながら肺に息を吸いこみ、ゆっくりと、喉の奥から言葉を押し出した。
「占い師は虚偽を口にすることはできません。そういった意味ではわたしはあなたの力になることはできないのです。わたしがあなたのおとうさまを占うことになんら問題はありません。けれど、その結果が母と同じものとなったとき、おとうさまにとってますますの負担になるとは思いませんか?」
これは、彼を思いとどまらせたいがための方便ではなかった。
純粋に、身も心も疲労し衰弱しきっているという彼の老いた父親の身を心配してのわたしからの問いかけに、彼は躊躇するようにほんの少し肩を震わせ、そして、なぜかそんな反応をした自分自身に対してのような苦笑いを浮かべながら、こう答えた。
「そのときは、どうぞあなたが見出された予見を、語ってください。わたしたちに遠慮や気遣いは無用です。
あなたの母上は到底避けられない事だからせめてその日までは知らぬ方がよいと思ってか、口を閉ざしたようですが、たとえそれがわたしたちの想像を絶するものであり、彼女の予言通りどうしても避けがたいものであったとしても、そのときを迎えるための心構えはできます。それだけでもきっと、今の父の心は救われるでしょう」
と。