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虹霓国の女東宮
浮田葉子
異世界恋愛和風・中華
2024年07月09日
公開日
46,024文字
連載中
平安時代風の異世界ファンタジー。虹霓国の物語。

虹霓国では王座には代々男性がつくものであった。だが王の子は内親王榠樝ただ一人。前例無き女東宮。
賢王と名高い父王の御代ならば、という貴族たちの承認のもとの、異例の立場であった。
十年二十年と父王の政を学び、その上での即位の筈だった。誰も彼もが疑いもしない平穏な日々。
だが父王の急逝により王座は突然転がり込んできた。榠樝の即位を前に様々な難関が立ちはだかる。
女東宮である榠樝は王座に相応しいのか。貴族たちの品定めに始まり、婿選びから、外国との軋轢、果ては命までも狙われることに。
誰が味方で誰が敵か。見定めることはできるのか。果たして榠樝は無事王座につくことはできるのだろうか。

天地開闢てんちかいびゃくのこと。


まず混沌こんとんがあった。

どろどろと絶えずうごめいて、けれど形は無い。

神はそこに卵を一つ生んだ。


卵からは龍が生まれた。

卵殻は、軽きものは上に昇り天となり、重きものは下に降り地となった。

混沌の蠢きは緩やかになり、やがて上澄みの海と沈殿する泥とに分かたれた。


天の上には神々が座し、地の下は暗き静寂があった。


龍は地を幾つかの島々に分けた。

そして泥を掬い、捏ねて人を作り、島々に置いた。

人は瞬く間に増え、村ができ、国ができた。

龍は人の中の優れた者を選び、宝珠ほうじゅを与えた。その者が王となった。


その島々のひとつが今の虹霓国こうげいこくの基である。




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