どうも釈然としないまま、目を開ける。今回の悪夢は、本当にこれで終わりなのだろうか?
それは他のメンバーも同じことを思っていたみたいで、皆顔が曇っていた。
「やけにあっさりした悪夢だったね……」
咲夜が言う。
「そうだな。何か裏があるんじゃないか? 例えば、毛利先輩が浮気をしていて、その現場を見てしまって病んでいるとか」
暁人のこの論は、一理ある。かもしれない。もう一度、情報を集める必要がありそうだ。
「確かに放課後の毛利先輩は尾行してなかったわ。今日、することにするわね」
「私たちも、美麻さんや双子さんから情報を集めてみます!」
「決まりだな。じゃあ、朝に備えて解散しよう」
俺の一言で、解散になった。しかし、後楽園美麻。思うように情報が集まるだろうか?
***
翌日の昼、美麻は隣のクラスで友人たちと共に弁当を食べていた。女子の間に割って入るのに躊躇していると、「私が行ってきます~!」と月影が教室に入っていった。暁人はというと、餡パンを食べていた。普段と全く変わらないのが、一周まわって羨ましい。
しばらくすると、美麻を連れて月影が帰ってきた。
「あの、用事と言うのは何でしょう?」
不審者を見る目をされた。二日連続で呼び出されているのだから、当たり前と言われればそうかもしれない。
「単刀直入に訊くけど、お姉さん……桃さん、の彼氏ってわかるか」
「ああはい、毛利先輩ですよね。会ったことあります」
美麻は敬語を崩さず答えた。彼女は誰に対しても、きっとこうなのだろう。
「その毛利先輩なんだが、浮気してるとかそういった話を聞いたことはないか? 何でもいい、些細なことでいいんだ」
まくしたてる様に喋ってしまった。美麻は少し考え込んでいる素振りを見せてから、
「最近、姉さんと一緒に帰っていないとは聞きました。姉さんがぼやいていたから。でも、それ以上のことは知りません。前は部活が終わるまで待っていてくれたのに、って」
暁人の説が、現実味を帯びてきた。嫌な感じだ。
「ありがとな。じゃあ、俺たちはこれで」
放課後に、もう一度情報をすり合わせよう。俺たちは美麻に背を向け、歩き出した。