昼休み、部室に来た望月を見て暁人と月影は驚いていた。
「すっごくカッコいいです!」
「イメージチェンジか。良いんじゃないか」
悪い印象ではなかった様で、俺まで一安心してしまった。
「ところで……今日は夢の主さんの情報が送られてきました」
月影はタブレットを操作し、皆に見える位置に置いた。
「今日の夢の主は、剣道部の主将である後楽園桃さんです! 皆さん、名前は知ってますよね」
剣道でも優秀な成績を収めている月見野学園高校で、その名を知らない人はほぼ皆無だろう。ただ、彼女が目立っているのはそれだけではない。
「後楽園姉妹の、長女よね」
後楽園姉妹。三年生の桃、二年生の双子、俺たちの同級生である美麻。全員が高い剣術スキルを持っており、正しく剣道一族だ。両親も剣道の師範らしい。
「それで……どんな夢の内容なんだ」
暁人が話を先に進める。
「ライバルである幼馴染に命を懸けた決闘を申し込まれ、受けることになったのは良いのですが……どう足掻いても負けてしまうみたいです」
「なるほど、だから自害してしまうのね」
夢のパターンが掴めてきたからか、皆呑み込みが早い。
「とりあえず、先輩に話を聞いてみようよ」
「そうね」
今回は女性ということで、咲夜と望月が担当してくれるみたいだ。この件は二人に任せよう。
「じゃあ、俺たちは俺たちで先輩の情報を集めてみるよ」
「よろしくね!」
少し早いが、この場は解散となった。