家を出ると、咲夜が待っていた。彼女は声を潜めて
「重要なことなんだから、もっと早く言ってくれていれば良かったのに」
とぼやいた。
「確かに、連絡が遅かったのは謝るけど……急に決まったことだったし」
俺も悪かったので一応謝罪しておく。
「いいよ。獏がいきなり行動するのには慣れてるから。それにしても、どんな人なんだろうね」
「おじさんが変人扱いするくらいだから、よっぽど変わってるんじゃないか?」
そんな会話をしていると、もう正門まで辿り着いていた。
「じゃあ、また後でね」
咲夜は校内へ駆けていった。取り残された俺は、ゆっくりと教室へ向かう。
今日も一日、頑張ろう。
昼休みが過ぎ、放課後へ突入すると生徒が教室からどんどん出てくる。ちょっとした渋滞状態になるのは毎日のことなので、ある程度人波が収まるまで待つ。ここで氷川さんの話は出来ない、というかそもそも月影と話しているとロリコン扱いされるので避けたい。当の月影はと言うと、一人で窓から空を眺めていた。ある程度人が捌けたところで、
「行くぞ、月影」
「わかりました~」
俺たち二人はネットカフェに直行した。