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第39話

 放課後に再度集まる前に、俺は倒れている如月を発見した。

「大丈夫か!?」

 敬語を忘れて近寄ると、息はしていたので命に別状はない様だ。しかし、ここは部室棟への抜け道。何故こんなところで倒れているのかはわからないが、放っておくわけにもいかない。抱きかかえて、保健室へ向かう。それにしても、随分と軽い。悪夢を見ているから、健康状態も良くないのだろうか。本校舎にある保健室に辿り着くまで、じろじろと視線を感じたが月影のおかげでこの手のものにはだいぶ慣れた。

「ここまで運んでくれてありがとう。彼女の親御さんに連絡しておくから、もう大丈夫よ。気をつけて帰ってね」

 保健室の先生に如月を預け、再び部室棟へ向かった。


「遅いぞ、夢野」

「悪い悪い、ちょっと色々あってな」

 人を叱るときくらい、甘味を手放してもいいのではないだろうか。怒られている側だから何も言えないが。

「皆さん、計画を立ててるんですよ~! 夢野くんは大トリですから、皆の計画の監修をしてほしいです」

「いいぞ、どんな計画なんだ?」

「そうね……閉店してしまうものを止めるのは難しいから、彼女の行動の方を変えるしかないわね」

「でも、友達がいないなら誰に変身したらいいんだろう? ってところで行き詰っちゃってるの」

 望月と咲夜が説明してくれた。

「別に、無理して変身する必要はないんじゃないか? 要は自殺させないってのが目的なら、如月を取り押さえて早めに食えば良いんじゃないか? 夢を」

 確かに、俺たちには特殊能力がある。夢の中限定とはいえ、強力な能力だから使いたくなる気持ちもわかる。だが、今回は使い道が無いだろう。如月が無事であることが第一条件なのだから。

「それもそうね……」

 望月も考え直したらしい。

「もう、ファミレスで待ち構えてようぜ。絶望される前に食うってのもアリだし」

「そうだね……」

 今までに比べ、展開が早いがそもそも今回の夢の構成自体そんな感じだ。暁人も月影も頷いているし、

「じゃあ、今日はいったん解散な。零時にまた、いつもの場所で」

 俺が解散宣言をするのは滅多にない。そのままドアを開けると、誰かとぶつかった。

「痛っ!?」

「悪い悪い……って先生。どうかしたんですか?」

 顧問である浅野先生にぶつかってしまった。どうも今日はよく人にぶつかる。

「いえ、今日は暇だったのでたまには様子を見に行こうと思ったのです。そうしたら、もう終わり際だった様で。それにしても、零時にいつもの場所って……小生は先生なので忠告しますが、夜遊びは止めた方がよろしいかと」

 確かに、先生の言う通りだ。というか、聞かれていたのか。何処から聞かれていたのかわからないが、非現実的な現象なんて先生は信じないだろう。

「わかりました、気をつけます」

「夜遊びして、何かあったら小生が責任を問われますからね。頼みますよ」

「わかりましたって」

 いつもの場所としか言わなかったのが幸いだ。先生も流石にネットカフェの場所まではわかるまい……。

「じゃあ改めて、解散で」

 俺たちは、今度こそ解散した。


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