翌日、早速俺たちはおじさんの指示通り夢の主に接触することにした。
「ええと、今日の夢の主は吹奏楽部の指揮者、佐久間梓希先輩ですね! 早速会いに行きましょう~!」
月見野学園高校は、生徒数が多いからか部活動で優秀な成績をおさめているものも多い。吹奏楽部は文化系ならその最たるものに位置するだろう。始業式や終業式では必ず表彰されているのだから。その頂点に君臨するのが、指揮者であり今日の夢の主である佐久間
流石に先輩に話しかけるのは俺でも緊張する。同性だとしてもだ。だが、思っていても仕方がないので教室のドアを開いた。見慣れない顔だからか、先輩たちもざわざわし始めた。
「佐久間梓希先輩、居ますかー?」
俺が声を張ると、彼は振り返った。そのままこちらへ歩み寄ってくると、
「何だ? 知らない顔だけど……俺に何か用なのか?」
と困惑の表情を浮かべながらも話に来てくれた。
「ああ、いや。大した用じゃないんです。ただ少し、お話が聞きたくて」
「話?」
益々困惑の表情を浮かべる先輩を無視して、俺は言う。
「率直に訊きます。先輩、最近悪夢を見たりしませんか」
「……何だよ。そんなの、関係ないだろ」
「言いそびれたんですが、俺たちはオカルト研究会といいます。悪夢を見ないお呪いをかけることも出来ますよ」
「……そうか。でも俺は悪夢なんて見ないし、オカルトに興味もない。来てくれたところ悪いけれど、帰ってくれ」
そのまま先輩は教室に戻っていった。