俺は、弱い。だから強くならなければならない。でも、どうやって。そう考えた時真っ先に思い浮かんだのはおじさんの存在だった。
「稽古をしてほしい?」
「ああ。この間の一件でわかった通り、俺は弱い。だから、精神統一をしてもっと冷静に物事に対処できるようになりたいんだ」
咲夜のことで、仲間のことで動揺して冷静さを欠いていては話にならない。
「わかった。手伝おう」
おじさんは快く返事をしてくれた。
「精神統一というと……座禅とかか?」
「そうだな……一回やってみるか」
俺はポーズをとり、雑念が入り混じらない様に集中する。だが、初心者には無理な話でしばらくすると雑念が流れ込んできた。あの時、咲夜が助からなかったら。そう考えるだけで怖くなってきて——
「獏! 雑念が入ってるぞ」
「悪い。じゃあ、もう一回……」
この日、それからの日々何度おじさんに肩を叩かれたかわからない。