目が覚めても、息が苦しい。毒の後遺症だろうか。全員浅い呼吸を繰り返す中で、俺は自分の不甲斐なさに腹が立っていた。もっと上手く指揮できたはずだ、と自分を責めずにはいられない。咲夜が自己嫌悪に陥りがちなのも、今なら何となくわかる。彼女も、こういう気持ちだったのだろう。
「……大丈夫か?」
おじさんが、俺たちの様子を見て一言。絶対に大丈夫ではないが、それでも俺たちを気遣う優しさが垣間見える。
「大丈夫、でも任務に失敗したのは今回が初めてだ」
ぶっきらぼうにそう言うと、おじさんはそれ以上何も喋らなかった。皆、ふさぎこんでいる。当たり前だ。今まで順調にいっていたものが、訳の分からない妨害にあったのだから。
「……いつまでも落ち込んではられないぞ。また奴らの襲来があるかもしれない。対策を立てなければ」
暁人は眼鏡をクイッと押し上げた。癖なのだろう。よくやる仕草だ。
「それに、顧問問題もありますしね~。諸々、明日から考えましょう~」
忘れていたが、そうだ。このままだと廃部になってしまう。しかし、流石に今日は眠い。明日の自分に任せても大丈夫だろう。全員同じ気持ちだったようで、言葉もなしに解散となった。