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第6話

凌雨華「・・・え?どういう事?何をいってr「この黒い藻をアイセラ大陸ではひじきというのですか?」

彼は凌雨華に被せるようにして、話しかける。僕は首を横にした、多分少なくともミカr・・・いや彼女も知らなさそうだから、もう全部説明してしまおう。

前原「実は・・・自分は異世界から転生してきたんです」

簡潔に言うとたったの一文で説明できることだった。そして言ってしまったのだった。しかし彼らは僕の言っていることにちんぷんかんぷんで結局理解しているのかは分からなかったが。

どうやら自分のこの一言で食卓の場を凍らせてしまったようだ。

凌雨華「そう・・・なんだ。まああの時聞いた通り、あなたは転生者だったけど」

彼女は少し吹くように笑いながらそう言った。

凌望「ほう・・・」

明らかに二人は反応に困っている。まるで彼らがプレイヤーで回線落ちしたように何も言わずフリーズしていたのだった。凌雨華、彼女は虚空を見つめ、凌望は自分の長い髭に手をやっている。

凌望「その・・・修行の期間をここであなたの口からお伺いしたかったのですが・・・」

しかしその話を反らさんが如く彼は話を続ける。どうやら修行、いやあのスクワット体勢維持体操の続きを願っているようだ。なぜならそんな話は空前絶後であって今までこの食卓にすら上がってこなかったのだから。

前原「う~ん・・・修行だとするなら3年とかの長い月日・・・ぐらいじゃないですかね?」

僕こと前原悟はまたあの辛い鍛錬という名の静止を向こう3年に費やすのかと少し考えながら、目の前にあるひじきを口に掻きこんだ。彼は待っている姫であり魔王が蓬莱の島から遥か東方にいるにも関わらず、そんな長い年月をかけてしまうのだ。

凌望「あ、魚も食べます?転生者のマエハラサトルさん」

するとその様子を見ていた凌望がそう言って、切り取った魚の切り身をこちらの空っぽの皿に移したのだった。

そうして僕はどこかの浜に横になって眠る。だけども下が明らかに砂利砂利しているので眠るにも堪らなかった。なので多分一睡もできずに目を瞑って横になっていただけかもしれなかったけどね?

~~~~~

しかしその次の日、僕はその同じ砂浜に叩きつけられていた。

凌雨華「はいもう一度!」

彼女は木で作られた槍の先端を地面にバンバンと突き刺しながら僕にそうやって叫ぶ。どうして自分はこうなって横になっているかと言うと、数時間前の出来事に遡るのだった。

~数時間前~

前原「え?もう直接戦いながらの修行ですか?」

凌望からいきなりそう告げられた。しかも昨日砂浜の上で寝たせいで今日寝不足なのに、夜明けにいきなりたたき起こされもしたのだから、その分余計理解が出来なかった。昨日基本のキをやっていたんだよ?それなのに今日は武器を持って戦えって・・・凌望は鬼になったとでも言うのか・・・なんか是非とも凌望さんは僕にやってほしそうに見えるからまあやっておくか。あの腰曲げた体勢ずっとキープするの、嫌だったからまあそれとは抜けられて良さそうだし。とりあえずまあステップアップしたって事で・・・受け取っていいんだよね?

凌望「いかにも。あなたの力を信じてという事です、まぁこんな話はあくまで提案ですから・・・「是非ともやらせていただきます!」え?」

僕はその彼のオファーに二つ返事で了解した。どうやら断られる前提で聞いてきたらしい。どちらかと言えばそうであるというようなどこか曖昧に感じるような質問をしないでくれ。僕は目の前で憤慨することも無く、それといって疑問に残るのも無かった。

すると凌望は目の前から立ち去り、離れた所でこちらの様子を見ている。そしてその彼が去った後ろに隠れていた、遠くにいる凌雨華が木で出来た長い棒で先が太くて布で巻かれている物、いわば槍に近い物を構えていた。僕はと言うと武器はこちらに何処にも無くてこれじゃあ互角どころか一方的で清楚系美女仙人に、一方的に優勢を取られるどころかボコボコにされ兼ねない。

すると凌望は手に持っている体重を支えていたであろう杖を僕に投げ渡す。それは片刃が何処か研がれたように反られており、そして杖にしては少し曲がっていた。そう、修学旅行のお土産よく買う物第3位にランクインする、まさしく男子なら全員この道を通ったであろう、日本刀や白鞘を木で模した“木刀”だった。僕はその柄を握って構え、目の前にいる美女仙人兼仮称ミカラさんの凌雨華にその先を向ける。そう、一対一の決闘であり修行であるのだ。

僕は万全の体勢として、どこからか来るのか分からない彼女の攻撃に注意を凝らしたのだった。彼女は仙人、多分何か煙とか撒いて周りの視界を消してからが多分攻撃の合図だ。

僕はそれに対して攻撃は最大の防御と言うように、自分の得意な魔法“剣術の極意を唱えて至近距離に掛かる脅威を排除しようとしたその瞬間、目の前にいた凌雨華が音もなく消え去る。

前原「剣術の極いぃ゛っ!?」

僕の魔法は言いかける直前の所で、自分の足に何か打たれるような衝撃が走った。


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