その地下牢から日の光を浴びた時、彼女に連れられて、魔族領と神の庭園との境い目に来ていた。どうやら彼女は僕たちを危険人物や集団とは思っていないようだ。良かった、そんな安堵の気持ちが心の中に飛び交った。
セシリア「私が来れるのはここまでですが、どうぞこの後の冒険も頑張ってください」
そんな彼女は別れにも関わらず、笑顔でそこまで見送ってくれた。やっぱり彼女は聖女と言える存在だった。だからこそ、狂ったような信者がああやって狂った価値観に染まって、暴力とかを平然とできるのだろうと理解も出来る。限界オタクなのだ、ここにいる信者は。
前原「ありがとうございました」
僕は深々と彼女に礼をして、その魔王領へと入っていくのだった。
アルティノ「マエハラー!行くわよー!」
僕を呼ぶ声が魔王領の領主から聞こえた。
前原「あぁ、ではそろそろ行きます」
僕は後ろを振り返って、魔王アルティノ達と共に旅を進める。そんな笑顔の美しい彼女は笑って僕を見送ってくれていた。正真正銘3人だけのオフ会はこれにて幕を閉じたのだった。
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その後ろ姿を、私は見えなくなるまで手を振って見送った。どうやら彼らは種族が違いながらも、見えない絆で結ばれているようだ。そんな事を考えながら、私は神の庭園の建物の中へと入っていく。すると、地下牢へ続く階段の方に信者がぞろぞろと走っていく。全員杖や剣を持ちながら。
セシリア「あー・・・鍵はあとで返そうかしらね?」
そんなところを見計らって、私は塔に続く階段を静かに上って行くのだった。まるで逃がしたことを隠すように。
セシリア「はいはい、私は何も知らない知らない。何で忙しいんだろうね~?」
そう言いながら、膝とふくらはぎが攣る程長い階段をゆっくりと、そして何も知らなかった、我関せずの態度を取り、手を後ろで交差させながらそのまま階段を歩いて行った。
セシリア「だけど~、何だったんだろあれ?あの・・・白く薄い板?アルファ掲示板って言ってたはず・・・」
その名前を呼んだ瞬間、隣にはその名前の通りの物が出てきた。顎に手をあてて考えているその手の数十センチ先に。
セシリア「え?・・・アルファ掲示板」
またそう言うと、消えてそこには何もなかった。なのですぐに階段を全速力で、そしてサンダルで駆け巡った。
~教団の最上階の一室~
全速力で彼女はドアを開けた途端、すぐに足に履いていたものを脱ぎ、ベッドにイーグルダイブした。まるで某暗殺ゲームの最新作の舞台である日本の戦国時代の時代考証が違う、戦国時代なのに関ケ原鉄砲隊が居るし虎ロープがあるし軽トラがあるしで春に稲刈りしてるし、そして神社でお香を焚くしの宗教問題を引き起こすし、挙句の果てには著作物の盗用したとかで炎上した開発会社の株価のように。図々しく空白を私たちの歴史で埋めたとかさらっと言ってのけるそこに痺れる憧れる会社の株価のように。子供の時にこの会社の名前を指ソフトといっていたその会社と株価と信用度のように。
弥助やないかぁ~い
そのポフッとしたベッドに顔をうずめた後、また少し顔をブレンダーのx軸で90度回すように向けると、またあれを開いた。
セシリア「暇!経典!終わり!暇!」
そんな4単語をただ最上階で叫ぶものの、誰も聞く耳を持たない。下にいる信者たちは自分の事で手一杯であり、そんな聖女の事なんてもっての外なのだ。
セシリア「もういいや…アルファ掲示板」
そんな彼女は、目の前にアルファ掲示板を出現させる。そして両方の人差し指を駆使して、一本一本一文字一文字を打ち込んでいった。それによってその文字は文となり、意味を成す。
セシリア「よしこれで出来た、終わり!」
そうやって送信した。
後に彼女はこの面白さを知り、そして一日の大半をこの掲示板で過ごすことになる。しかし、彼女はそのことをまだ知らない。
そんな何も知らない彼女はベッドの上で・・・
セシリア「あれ?」
動かない。いや、この場合肉体が動けないのだ。特にふくらはぎ、どうしてか分からないがそのベッドから起き上がることもできないのだ。そして動かした瞬間、
セシリア「痛たたたたたた!!いーたいいーたいいたいたい!!」
筋肉痛を最大限引き延ばした痛みが、ふくらはぎにかけて彼女を襲い始めたのだ。あの何百もある階段によって。
セシリア「待って!すごい痛い!ダメ!耐えられない!」
そんな痛みに堪える中、その部屋に来訪者は来る。
「セシリア様?入りますよ?」
ドアを開けて入って来たのは、女性の信者の一人。どこか心配をかけて無さそうな態度で入って来た。
「大丈夫すか?」
明らかに心配してい無さそうな心配の言葉で。
セシリア「あ、だ、大丈夫」
「そういえば参拝者が来てます。あとでちょっと顔出してくださいね?」
そんな信者はそれだけ言った後、すぐに扉から出て行った。私はと言うとものの間、痛みに悶え続けていたのだった。
セシリア「いたーいほんと、ほんといたーい!信者の目もいたーい!心を抉ってていたーい!」