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第13話

ガヴリ「そういえばこれ、返す」

目の前には刃先の露出した剣が手渡される。あのときデブリンに向かって刺したはずのすごく軽い西洋剣だった。

前原「あ、ありがとう・・・って!鞘が無いと錆びちゃう!」

僕は少し慌てながら、周りを見回す。どうやら焼失したのかもしれない。いや違う、もしかしたら草むらの中で落としたのかもしれない。僕はそう考えて草むらの中へと足を踏み入れるのだった。

カカリ「魔王様!大丈夫ですか?」


魔王「もう大丈夫、もう大丈夫よ。それよりマエハラは?」


ネチネチ「あぁ今さっきなんか剣の鞘を探しにあの草むらの中に行きましたよ?」


魔王「そう…(どうしよう?多分服と同じく焼き払っちゃったし、今更探しても意味ないはずよ?早く戻ってこさせるために誰か誘導させようかしら)」

~草むらの中~

僕は草むらの中をガサガサと探す。だけど鞘を探すのはまるで自衛隊の演習場で一発地面に落ちて紛失した空薬莢を探すようにそれは難しかった。自衛隊には入隊したことないけど。でもどれだけ探しても、どれだけ草むらを回ってもどこにも無かった。ここで今分かった、焼失したのだ。そして僕はどれだけ探しても意味がないと思って、僕は魔王に連絡しようと右手を前に突き出し、“アルファ掲示板”と同じく“キーボード”を発動する。

そこで、彼女に連絡しようとしたが、それをも忘れるような46件もの通知が来ていた。まるでグループラインを通知オフにして放置したかのように、それほどかなり溜まっていたのだ。それを開くと

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

“あなた は サラリー魔ン に999999999ダメージを受けました

アルファ掲示板 バイタルマネージャー“

と、46回もそのメッセージが連なっていた。僕はまず、999999999という数字のインパクトに驚き、そしてアルファ掲示板のバイタルマネージャーという機能があったのに驚いた。なぜならアルファ掲示板は僕や魔王アルティノ、あまつさえABS553?という人にとってもブラックボックスなのだから。内部の構造は分かっていなくても、十分な効果が得られるというのだ。

そんなことは一旦置いて、どうしてもやる事を思い出して、魔王に連絡する事にした。

“魔王さま。今から戻ります”

と書くと、

“分かったわ”

と数秒後すぐに返信が入って来た。

前原「今戻りました~」


ネチネチ「お疲れ~」

僕に気づいた魔王はそっぽを向かずにいた。そして、あの“ごつ麺”が容器ごと入っている鍋の前に座り、それに同調して他のゴブリン達も座る。

魔王「あなたも座りなさいよ」

そう勧められて、僕も座った。

魔王「それじゃあこれから今後の行き先とかを決めていくわよ。いいわね?」

ネチネチ「はい」

カカリ「了解です」

ガヴリ「りょうかい」

そう集まる中、僕は

前原「あの~、何といえばいいんでしょうかね?(こういう時は自己紹介がベストだな!よし!)前原悟です。魔王さまに半ば強引に勇者と決められました」

魔王「どうもすいませんね」

彼女は少し怒った口調で皮肉交じりに言う。

魔王「それじゃあ勇者も見つかったことだし行先はもちろん・・・


魔王城よ」

僕とゴブリン達は驚いていた。何しろ初にラスボスを倒す羽目にあるかもしれないのだ。それは少し面白くない、むしろ負けて立ち上がってもう一度倒すというのが何かと構図的に映えるというのになぁと、僕はアニメオタクの視点から考えていた。

その頃、アルファ掲示板では前原悟でも魔王アルティノでもABS553でもないもう一人が、今このアルファ掲示板に現れたのだ。

~一方その頃・アバドン生命の樹学園~

霧がかった学術機関の一室。魔導書やら巻物やら魔法道具が乱雑に置かれた一室で、灰色の長髪を持ち、顔立ちが鋭く、常に自分の学位を象徴する華やかな黒いローブを身にまとい、苦悩に満ちた表情をしていた中年の男が椅子にふんぞり返って座っている。目の前の机の上には、白いパネルとその下に文字盤があった。その白いパネルには、

“マエハラサトル。まずは魔王として勇者になるのよろしく。

これからあなたを勇者として育成するために色々な大物たちと会って強くなってもらうわ。天災魔導士、剣術の達人、神の代行者、色々な界隈の大物たちよ。その人たちの下で強くなって私に挑みに来て。一応私もあなたの指南役としてパーティと組ませてもらうわ。ついでに私の仕事をサボることもできるから。その代わり、この掲示板の使い方を教えること。“

と、ハンドルネーム“サラリー魔ン“に書かれた文字が映されていた。

カーン「マエハラサトル・・・サラリー魔ン・・・天災魔導士とはまさしく、私のことだが」

私の名前が書かれていることに驚きは余りなく、むしろ当然のように思っていた。

カーン「しかし、この魔法はどうやってできているのだろうか?構造が知りたい」

私は少しその“掲示板”という魔法に少し興味があった。なぜなら元素科の講師である私が、すべての元素を根源とした魔法を使える私が見たことが無かったからだ。私は少し面白くなって口角が上がっていた。この魔法を完全に解明して見せようと思って。しかし、

「あの~カーン教授?「お、おぉ!なんだ?」研究のレポートが出来ましたのですが・・・」

私の教え子が目の前にいた。ニヤニヤとしていたことがバレたか。と思ったが、

カーン「あ~ありがとう!そこに置いておいてくれ。後で確認するからな!あ、あと私は教授ではなく講師だからな?そこらあたりは間違えないでおくれ?ささ、今は忙しいから後にしておくれ?」

私は隠すようにそそくさと教え子を帰らせる。どうやらこの私のこの“掲示板”とやらは見えていないようだ。私は少し笑いそうになって、

カーン「まあしょうがないだろう!朝起きた時に偶然出ていたものだからな!別に調べられたってしょうがないしょうがない!」





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