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第12話

前原「え!?ちょっと待って!服だけでも「燃え尽きました」えぇ・・・?」

全裸の僕を両手で握る彼女は、それに気にかけてすらいない。むしろそれに気づいていないようにしていた。しかし、彼女は振り向いて

魔王「カカリ、ネチネチ。マエハラのために丁度いい服買ってきて!で、色は?」

そしてまた彼女は僕の方を振り向いて、僕に反応を求めてくる。

前原「あ、じゃあ青で…」

すると、彼女は頷いて、

魔王「青ね!わかったわ!」

と言った。彼女は後ろにいる3人の内2人のゴブリンに対して合図をした。すると、その二人のゴブリンは音を置き去りにしてその場から消えていった。

魔王「大丈夫よ?余程の変なものは買ってこないと思うわ!」

彼女は笑顔で僕の両手を握ってくる。そんな魔王の顔はどこか不自然なほどだった。

前原「すいません、なんで笑ってるんですか?」


魔王「なんでって・・・そりゃあ、勇者が見つかったんだもの!やっと私の政務も離れられるからよ!」

そう言うとさらに僕の握る手を強めてくる。それは何か血がキュウっと締まるような物で、そしてその笑顔の不気味さがさらに引き立っていった。

魔王「大丈夫、魔王であるこの私がサポートしてあげるから」

その声はどこか、15歳の少女であることを忘れさせて、まるでサキュバスのように包み込まれるような気がした。しかし、次の瞬間、後ろからぼそりと、

カカリ「我らが雷の精霊よ。目の前のニンゲンを、痺れさせ給え!」

と聞こえた。僕は振り向こうとしたが、

魔王「後ろを見ないで」

と凍てつくような声で止められた。いや、完全にそれはさきほどのサキュバスのような包み込まれる甘い声ではなく、まるで彼女が魔王であることを再認識させるような声だった。

その次の瞬間、またテーザー銃のようにビリビリと痺れて動けなくなった。そして彼女は強くひしがれるように握られていた手を離して立ち上がる。そして目の前に三角形を作って、

魔王「我の血に巡りし古龍の血よ!その血を糧にして、目の前に息吹を吹き給え!!」

そう言った。すると、彼女の目の前から、前に一度起きた赤い炎ではなく、どす黒い炎が出始めた。

また僕は、黒い意識の中に吸い込まれていったと思ったが、何も起こらなかった。

前原「何も・・・起きてない・・・何かしたんですか?」


魔王「確かにしたわよ。でも同時に黒炎の中に回復魔法を流したって言ったら分かる?」

一瞬なにかを言っているのか分からなかったが、恐らく彼女の天才たる故に出来る神業なのだろう。ぼくはそれでしかと納得した。だが、僕は何か忘れていることがあるなと思った。服を着ていないのだ。それで僕は恥ずかしくなって、15歳の少女に自分の粗末なイチモツを見られまいとして両手でそれを隠す。

魔王「どうしたのよ?そんなに顔を赤くして。別にあなた以上の筋肉は何回も見てきたんだから別に大丈夫よ!」

僕は彼女の口から衝撃的な発言を耳にした。

前原「(僕以上の物(イチモツ)を何回も見てきただって!?もしかして魔王様はかなりの経験ありなのか!?)」

僕はあらぬよからぬ事を、15歳の魔王に対して考えていた。辞めておいた方が良かったのだろう。僕はそれを口に出してしまったのだ。

前原「その~魔王様って、いっぱい経験があるんですか?」


魔王「経験って・・・何の経験よっ・・・////」

すると、彼女は途端に黙って下を向く。

前原「あれ?どうしたんですか?」

そんな感じで顔を覗こうとしたとき、誰かに肩を叩かれる。いや、叩かれるよりは手を置かれると言った方が良いのだろうか?

ガヴリ「その辺にしておきなさいな」

その手の先を見ると、デブのゴブリン、デブリンが居た。

魔王「勘違いしないでよっ!!」

バチンッッッッッッ!!

ガヴリ「あちゃ~~・・・」

デブリンは顔に手を当てて、「やっちまったな…」と言わざるを得ない顔でやれやれとしていた。その瞬間、頬に強い衝撃が走る。ビンタされたのだ、魔王アルティノに魔王級以上のビンタをされたのだ。

魔王「私をサキュバスか何かと勘違いしてるでしょっ!!もう知らないっ!!」

と言って、そっぽをプイッと向いてしまった。そして、彼女は背中にある翼を彼女の身の回りに包んで完全に話を聞かない状態になってしまった。

~しばらくして~

ネチネチ「魔王様~こいつに合う服を買ってきましたよ~成人サイズですけどね~」

そう言うとゴブリンのうち一人は、僕の体の上に服を被せてきた。

カカリ「僕らのいないうちにどうしたんですか魔王様?なんでそんなにうずくまっているんですか?」

もう一人のメガネをかけたゴブリンは魔王様に近寄った。すると彼女は涙ぐみながら

魔王「マエハラが、マエハラがぁ・・・サキュバスみたいに扱ってきたぁ」

そう言うとメガネをかけたゴブリンは、僕の方にやってきて、

カカリ「あの~マエハラさん?魔王様はサキュバスとよく間違えられるのですが、彼女をあまりサキュバスだとかそれに準じた扱いをしないでください。初めてでしょうけど、そこをよろしくお願いいたします。」

そう僕に忠告すると、またそいつは戻っていった。

サキュバスかぁ、サキュバスは確か・・・精通していないショタをパックンチョするような、おねショタ系の同人誌によくあるお姉さん役の4番人気ぐらいの所にいたはず・・・って何考えてるんだ僕・・・。そんなことを隠すように、僕は上に被されていた服に袖を通し、立ち上がって下着とズボンを履く。どうやら以外とこの服は動きやすいようだ。ノビが良い。多分伸縮性のある素材を使っているのだろう。


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