前原「ブフッwwwwサラリー魔ンwwwサラリー魔ンてwww」
僕はその名前に吹き出してしまった。それを見ていた魔王は怒って、
魔王「ちょっと笑わないでよ!別にいいでしょ?特段変な名前じゃないんだし!」
前原「でもさwwwサラリー魔ンwwwサラリー魔ンてwww本当に面白いwww」
僕は笑いすぎて、泣きそうになっていた。
魔王「別に、あなたの言ったことでしょうがwww!」
魔王も僕の笑いにつられて、笑いそうになっていた。とにかく、初めての利用者には満足が行ったようだ。初めての利用者、魔王アルティノこと“サラリー魔ン”は、この“アルファ掲示板”にて、この世界に唯一存在する掲示板で初めてテキストを打ってくれたのだ。
魔王「ちょっとこの文字とか見にくいわ。どうやって文字を打てばいいかよくわからないし」
彼女は満足したと思っていた。だけどUIが複雑だったのだ。
前原「え?じゃあ・・・テストテストってどうやって打ったんですか?」
魔王「知らないわ。勝手に浮き出てきたの」
前原「は?」
一瞬彼女は訳の分からないことを言ってきた。勝手に浮き出てきた?そんな機能はこの掲示板に無いはずだ。アクセシビリティか?それとも音声入力か?
前原「じゃあもう一回それ出来る?」
僕はそう言って、彼女の方を見る。すると彼女は少し難しそうな顔をしていた。
前原「うーん・・・大丈夫?」
僕は心配して、声をかけたが、
魔王「いや、大丈夫よ。大丈夫」
と返されてしまった。
しかし、その心配も必要なく次の瞬間、またその上に行が組み込まれた。さっきの時間から数分後、そこには先ほどと同じIDで、“リンゴ”と文字があった。
前原「リンゴ?どうやってここに入力したの?」
僕はその過程が気になった。フリック入力どころか、キーボードもないこの世界で、掲示板で。どうやって入力したのか、その不思議がすごく気になった。そんな不思議がかった質問に彼女は少し震えながら、
魔王「い、いや、ただ単に頭の中で“リンゴ”とイメージしていたら、それがこれに・・・」
彼女はそうやって、目の前に出ていた“アルファ掲示板”に指を指しながら言った。うーん、どうしたものか。この掲示板は誰か入力するものが無ければ、ただの白い板だ。何ものでもないただの白い板だ。いやただの関数に過ぎない。なにかキーボードとか入力するものがあればいいなぁ。
そうやって考えている時、何か脳みその電気信号が頭をコントロールし始めた。キーボードを魔法で作ればいいのだ。そう考えた瞬間、頭の中にそのイメージが浮かび上がる。まるで僕が昔使っていた、有線のキーボードを具現化するように。僕は右手を目の前に突き出して、僕はこう言った。
前原「キーボード!!」
そういった瞬間、掲示板の下にまた平たい物が出てくる。僕の所だけでは無く、魔王の方を見ると、そっちの方もキーボードが出てきた。
魔王「え、なになになに!?」
魔王は少し驚いていた。そして、一瞬15歳の少女が垣間見えていた。
前原「キーボードだよ、そこで文字を打ち込んで掲示板に投稿できる。少なくともイメージで文字を入力するよりは便利だろう?」
僕はそう言いながら彼女の方を見る。すると、彼女はもうすでにそのキーボードに高速でタイピングしていた。使い方も教えていないのによくそんな早く出来るものだなと魔王に関心しながら、エンターキーの音を待っていると、
ッターンッ!
その音を聞いて掲示板の方を見ると、数秒待った後に、そのタイピングが出力される。
“マエハラサトル。まずは魔王として勇者になるのよろしく。
これからあなたを勇者として育成するために色々な大物たちと会って強くなってもらうわ。天災魔導士、剣術の達人、神の代行者、色々な界隈の大物たちよ。その人たちの下で強くなって私に挑みに来て。一応私もあなたの指南役としてパーティと組ませてもらうわ。ついでに私の仕事をサボることもできるから。その代わり、この掲示板の使い方を教えること。“
と書いてあった。すごい早口でしゃべってそうな文章だなぁと思いながらも、僕は口頭で、
前原「なんかさぁ、知らないけどこの掲示板“ダウンロード”出来るっぽい」
魔王「ダウンロード?」
彼女が首をかしげていると、痺れを切らしたカカリがこちらに向かって話しかけてきた。
カカリ「さっきからサラリーマンだのテストだのダウンロードだの、何の言葉ですか?魔法の言葉ですか?」
少し喧嘩腰な口調で。
前原「えっとねぇ、サラリーマンは会社や働く場所の労働を対価にお金を貰う人。テストってのは検査、前もって異常が無いか調べることだね、それとダウンロードは物とかを自分の所に転送するって感じの言葉だよ。まあこの世界に来る前に僕の所で使ってた言葉だよ。魔法なんかじゃない、魔法だったら今頃僕らは死んでるよ笑」
僕は笑い飛ばしながら言った。
前原「まあつまりこの掲示板でダウンロード、つまりは物やらを自分の所に・・・」
僕はこれより前に、直接僕の方にメッセージを送ってきた“ABS553”という奴のメッセージを見る。
前原「単に自分の能力をダウンロード出来るっぽいね」
魔王「そう!ならよかった!」
魔王はすごい笑って、僕の両手を握る。その途端僕は思い出した、自分が全裸であることに。