魔王「えぇっ!?死んじゃったの!?でも、どうやってここに?」
前原「起きたらここにいたんです。目を開けたらこの世界に」
僕は地面を指さして答えた。
魔王「なるほどね。だから・・・異世界から来たの?マエハラは」
すると、魔王アルティノは僕のことで核心に迫る何かを言った。恐らくこの世界にとって日本は異世界という事になる。じゃあ僕は突然現れた異世界人、略して異人となるわけだ。
~魔王~
私ことアルティノは少し、マエハラサトルの体験談に少し共感していた。なぜなら私だって同じ経験をしたからだ。まぁ立場は違うけど。だけども仕事が膨大に来たり、そこで死ぬほど辛いような事を経験しているのも同じだ。魔王だから死んではいないけど。だけどもこんなに共感して信頼できるニンゲンは初めてだ。
私は少しニッコリとにやけて、
魔王「合格よ。あなたには勇者になってもらうわ」
その声を聞いたネチネチも笑って、
カカリ「やっと見つかりましたか」
と安堵した顔で言う。
ガヴリ「勇者見つかったんだな!わ~い!!」
その時、外からガヴリの声がした。しかも嬉しそうな声で。
ネチネチ「やっと魔王様の職務放棄も終わりって事ですかい」
そしてネチネチも、ガヴリに肩を貸しながらやってくる。どうやらカカリが2人とも治癒魔法で治したそうだ。ネチネチは骨が露わになっているが、包帯を巻いて何とか傷口は防げているようだ。
そうやってつかの間の和平の瞬間、私の目の前に白い四角形が見えた。昨日の夜に起きた、あのうねうねした空の後のホワイトボードのように。まるで何か、マエハラサトルに反応したように目の前に出てきた。だけどその中には一枚一枚の小さなタイルで書かれた“接続しますか?”という文字が書かれている。
魔王「ねえ、これってなんだか分かる?」
すると、彼は少し笑って
前原「なんで僕に聞くんですか?」
魔王「異世界人のあなたなら、分かると思って。こういう魔法はどこにも見当たらない魔法だから」
魔王の目の前に白いホワイトボードが出ていたその時、前原悟はこう思っていた。
前原「(まさかここにアルファ掲示板の利用者がいたとは。でも何で町の人たちはだれもそれについて話したり、驚いてすらなかったな。もしかしてアルファ掲示板は人を選んでいるのか?)あーそれはアルファ掲示板という魔法で、なんだろう。僕もよくは知らないんですよ。電波を流す事以外何もやっていませんね。誰か一人でも反応してくれればよかったんですけどね。いや~どうしてなんでしょうかね。誰一人この掲示板にやってきませんでした、まあ普通にはい押せばいいと思うんですけどね」
すると、彼女はその“アルファ掲示板”に書いてある“接続しますか?”という文字の下にある“はい”を押した。
魔王「これでいいのよね?あなたの魔法を発動するには」
前原「はい、たぶんそれであってます」
僕も、アルファ掲示板の準備をして、右手を目の前に出して、またあの時のホワイトボードを出す。今度は誰もいない空地ではなく、4人の目の前だ。僕はまた頭でイメージして僕はこう言う。
前原「アルファ掲示板!」
と。
その瞬間、目の前にパソコンのモニター程の大きさの、魔王の目の前に出てきた物と同じような奴が出てくる。これこそまさに“アルファ掲示板”だ。しかし、その中は完全に違っていた。誰かがここに直接メッセージを送ってきているのだ。
前原「ABS・・・553?」
その名前は完全にロボットのような型番だった。そこには、
“前原 悟 さん”
“いないようですね”
“このアルファ掲示板では、あらゆるこの世界の大物たちと会話する事が出来、能力を”ダウンロード“する事ができます。しかし、その代わりに”代償“を支払う必要がございます。”
“あなたはワイルドホーン、あなたの名付けるボスホーンにやられて死ぬ、という事でしたがこの能力を使い、復活して倒しました。その時、生きる代償にしたのはワイルドホーンの命を半分代償として使ったのです。それでもあなたにとっては十分な生命力ですが。とにかく、この忠告を覚えておいてください。”
“大いなる力を獲得するには、大いなる代償が必要になる”
“この掲示板を基に言い換えれば、
“偉大な能力をダウンロードするには、その分の代償を支払う必要がある”
という事です。”
“ABS553”
と書かれていた。僕は少し不思議がったが、だけどもそんな事には気に掛けることは無く、
前原「試しになんか打ち込んでみてよ」
僕は魔王アルティノにそういう。でも彼女はちょっと戸惑っていた。
魔王「待って、今名前決めてるの!」
名前?あー
そうやって待っていると、何かこっちのモニターで上からハンドルネームと投稿日時、そしてIDと、“テストテスト”という文字が吹き出しで表示される。IDは000002、000001は僕の方だろうか。そして肝心のハンドルネームは
“サラリー魔ン”
だった。