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第2話

カカリ「よかろう!消し炭にしてくれr「うるさい、チュートリアル如きが」

だが、僕は剣を振るい、そいつの首元に置く。その刃先は何か震えていた。

前原「(なぜか殺せそうにないんだ。このゴブリン達を作っている時をどうしても思い出しちゃってさ。待てよ?スキルで突進使えば何とか殺さずに済むか?いやでも間違いなく木に当たる・・・まあいいや!どうにでもなれ!)」

僕はその剣を横に振るって首を狩らずに、肩を突き出す。

前原「突進っっ!!」

僕はそのゴブリンの背中に半ばタックルのような物を入れた。そいつはよろけて、地面に倒れた。

カカリ「小癪なッ!!貴様ニンゲンとして風上に置けんゾッ!」

でも諦めずに襲い掛かってくる。僕はそれを避けて、先ほど奴の目の前で仕舞った剣を抜き、腹をスパっと切った。そこからは血がドバドバと出始める。だが数秒後には止まってしまった。

前原「(自己再生でもスキルに入れているのか?このメガネキャラ。確かこいつは唯一声を入れたゴブリンだし、それ故に知性も高い。多分魔法使いタイプにした奴だった。コード作成に涎を垂らしながら作った甲斐があった物だ。だからこそ、

ゲームが楽しくなるっ!)」

僕はその好敵手であるゴブリンに楽しみを覚えていたものの、飽きてしまった。

カカリ「私ハ魔王様ノ通訳デモアル。ソレ故二魔力モ強イ!再生能力モダ!」

そいつがそう叫ぶ、僕は少し驚いていた。

前原「そうなの・・・かい(まさか魔力の高さは賢さと相関関係にあるのか?)」

~昨日~

僕は昨日の時にもらったあの紐が付いた板に、書かれていたことを思い出した。

ナディ「終わりだ、ほらよ」

そう言って先ほど後ろに置かれた板を渡される。そこには、

前原 悟  男 23歳

体力 D

知力 B

スキル:翻訳、アルファ掲示板、突進、統率、ワイルドホーンの呪い

推奨職:魔法使い、勇者

非推奨職:戦士、格闘家

そういえばあの時の知力B、というのはもしかしたら自分の出せる魔力そのものの量という事になるんじゃないのか?だから推奨職に魔法使いがあったという事になる、納得納得。

~~~~~

昨日のことを頭の片隅で思い出していた。どうやらあの時に自分の能力を知れてよかったと思っている自分がいるが、今はこのメガネとの戦いに集中しよう。すると、

カカリ「我らが水の精霊よ、我が指の元に集まり、絶大なる力を合図と共に放出せよ!」

と魔法を唱え始め、右手には親指を曲げて撃鉄のように、人差し指を銃口のようにして、手でピストルを作っていた。

前原「子供のお遊びか!?僕には効かねぇぞそんなもん!」

僕は間合いを詰める。そんな猫だましなんて現代人には到底効かない。さぞかし人間というものがどんなものかを知っていれば戦いを選ばずに済んだだろう、だがもう遅い。

前原「来世は人間のことも勉強しな?通訳ゴブリン!」

剣で切ろうとしたその矢先、早すぎて僕とそいつだけスローモーションになる。しかし、そいつの親指が静かに、そして中指に落ちるのが見えた。その直後、緑色の指先から一本の水柱が立ち、それが僕に掛かって顔からびしょ濡れになる。

前原「(もしかして合図ってのは・・・指なのか!?)」

そう悟って頭を盾で防ごうとした。だがもう遅かった、盾に水が掛かる音なんて聞こえなかったのだ。そして周りを見ると、先ほど魔法を使っていた奴の姿はどこにもなかった。

前原「どこだ?どこに行ったクソ通訳!てめえ勝手に魔王の金で賭博して借金作っているのは知っているんだぞ!早く出てこい!通訳ゴブリンじゃなくて賭博ゴブリンって呼ぶぞ!」

僕はそうやってさっき会って間もない通訳にありもしない不祥事を叫ぶ。すると、

魔族の少女魔王「は?」

通訳ではなく、まさかの泣いていた少女の方が反応した。しかもその子はすごい剣幕で僕の方を見ている。まるで魔物、いやそれ以上の貫禄を感じる。何か魔王のような、それに近しい物を感じる。

魔族の少女魔王「(どういう事なの?カカリ?まさか本当じゃないわよね?もしそうだったら、分・か・る・よ・ね?)」

魔族の少女はそう考えていた。そして若干カカリに怒っており、さらにその剣幕であり、オーラは通訳であるカカリの方へと向かっていった。

~草むらの中~

草木が生い茂る森の中に、私は息を殺して隠れる。どうやらあのニンゲンはこちらを見失ったようだ。このままやり過ごしてしまえばいいのではないか、そう私ことカカリは思っていた。しかし、あ奴の口から出る根も葉もないでまかせに少し怒っていた。

カカリ「(あいつは何を言っているんだ?私が賭博をやっていたというホラを吹いて何がしたいんだ?まあいい、ふっふっふっ。このまま隠れつつ奴の隙を探ってそこをビリビリッ!とやってしまえばイチコロ。魔王様、待っていてください。我が力で・・・ん?)」

何か視線を感じる、すごく怖い視線を感じるのだ。それは右のほう、あのニンゲンではなく魔王様?私は草むらから目だけを覗くと、倒れた演技をしている魔王様はもう泣いていなくて、逆にこっちを見ていた、いや、睨んでいたのだ。そして、その目は万物の事象を黙らせ、震え上がらせるほど恐ろしく、自分の体が勝手に震え始め、呼吸も早くなった。

カカリ「(ま、魔王様?な~んでこっちを睨んでるんです?え?私、何かしましたのでしょうk(賭博やったの?)あ、魔王様直接脳内に!賭博なんてやっておりませんとも!決してありません!!!)」

その震える体を抑え、早くなった呼吸を整えようとするが、なぜか焦って治まらない。それどころか逆に早くなってしまった。なんとか左手で口を押えて、右手を耳に持って行って、

カカリ「(落ち着くんだ・・・落ち着く音を魔法で鳴らすんだ・・・我らが音の精霊よ。私の耳にゆっくりと静かな自然の音をっ!な、鳴らし給え!)」

そう念じると、彼の耳元からは静かな音楽が奏でられた。

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