作家インタビュー:トモユキーー作家を「自身最後の職業」と決意したネオページ編集部2024年07月25日

すでに作家としてスタートを切っている方々に、作家生活についてのさまざまなお話を聞く「ネオページ・インタビュー」。
今回は、作家を「自身最後の職業」と決意した「トモユキ」さんにお話を伺いました。


——まず、自己紹介をお願い致します。

トモユキ 初めまして、トモユキと申します。
ネオページでは『スリJKと推理令嬢 ~氏立探偵と錬金金貨~』を連載しています。
学生時代から小説を書いていましたが、仕事に忙殺されしばらく断筆。2019年頃に執筆活動を再開しました。Webのコンテストよりも出版社主催の新人賞公募を中心に、挑戦を続けています。
長らくITエンジニアとの兼業でしたが、色々あって今はフリーの専業作家/シナリオライターです。台本書いたり小説書いたりしながら、公募で新人賞を狙う日々。
書き物に追われる毎日ですが、これが自分のやりたかった事だなぁと、今はとても楽しいです。

——小説家を目指したきっかけは何ですか?

トモユキ 小学校高学年~中学生くらいまでは、マンガ好きな少年でした。
当時は雑誌や単行本でしかマンガは読めず、当然少ないお小遣いを使って買うわけですが……一冊だけだと、ストーリーはぶった切れだわすぐ読み終わっちゃうわで、お値段の割に物足りないなぁと感じてました。
そこで手を出したのが文庫本。マンガの単行本と同じような値段で、それを遥かに凌駕する圧倒的ボリュームのストーリー! しかも文庫本一冊読めば、きっちり物語が締め括られて終わるので、読後の満足感が違う!
てなわけで本を読み漁るようになって、それが高じて自分でも書くように。
もちろん小説家に憧れはしたものの、色々あってその後は、ITエンジニアとして働いていました。
そんな中、有名な村上龍先生の言葉――『作家というのはいつでもなれる一方で、そこからの転身が難しい「人に残された最後の職業」だ』という話を聞き、勇気付けられる事に。エンジニアとしてキャリアを積んだ今こそ、自分にとって最後の職業――作家を選びました。

——執筆活動で影響を受けた作家や作品はありますか?

トモユキ 僕は学生時代が一番本を読んでた人間でして……少々古いかもしれませんが、原田宗典先生に大きな影響を受けています。彼の妹は原田マハ先生で、今となってはマハ先生の方が有名売れっ子作家ですね。
原田宗典氏は、一時期笑えるエッセイが大バズりしてた作家で、小説はもちろん演劇脚本・絵本なども手掛ける天才でした。しかしうつ病を患って覚せい剤で逮捕されたりと、その後は転がり落ちるような作家人生を歩み、最近になってようやくぽつぽつと、書き物を進めているようです。
長編小説はそんなに多く出版されていませんが、僕は彼の小説が一番好きです。その中に「平成トム・ソーヤー」という長編小説があるのですが、この主人公が天才スリ師でして。拙作「スリJKと推理令嬢」の主人公・有海藍海のインスピレーションを頂きました。

——これまでにどれくらいの作品を書かれましたか?特におすすめの作品とその理由を教えてください。

トモユキ 10万文字の長編小説であれば10本くらいでしょうか。
3000文字~3万文字くらいの短編中編は、数えてないですけど30本くらい?
その中でも、初めて完結させた38万文字の長編小説『ヴィシュタイン・コピーライト』がオススメです。僕の人生の中で一番リライトした作品で、僕が作家になって世に送り出したいと思った、初めての作品です。
が、今はどこにも掲載してません。チャンスがあればいつか書籍化したいですね。
他にもいくつか長編小説のオススメはあるのですが、どれも公募に応募してたりで、Webで読めないものばかりですね……。
というわけで、今一番のおすすめは、『スリJKと推理令嬢』です!

——自作の魅力はどこにあると思いますか?

トモユキ 絶対的な読みやすさと、ユーモアのある会話劇、文体。
伏線と謎の回収。熱量を感じる生きた文章。
なのに……どこの出版社も新人賞受賞させてくれない独自性でしょうか。
無冠の帝王となるためにも、愚直にがんばっていきたいと思います。

——今回の作品で、読者に特に注目してほしい点は何ですか?

トモユキ 主人公とその相棒、藍海とみひろの百合百合バディ!
と言いたいところですが、結局のところ彼女たちを含んだ登場人物の関係性。全ての物語は、究極そこに集約されていくんだと思います。
なので百合ップルはもちろんですが、他の脇役、敵役との関係性にも注目してもらえればと思います!

——執筆に対する情熱が途切れたことはありましたか?また、どのように自分を励ますのですか?

トモユキ 自分が書いた小説大好きマンなので、公募に落ちた時はマジで凹みます。特に一次選考落ちはめっちゃキツイです。
高次選考とか座談会最後に出てきたけど受賞しなかったよー的なのは、ある意味敢闘賞みたいな感じで正気を保てますけど……同じ作品が、他公募で一次落ちとか食らうと、マジでやさぐれます。
回復方法ですか? まともに考えられなくなるまで酒飲んで酔っぱらって、泥のように眠る事です。
次の日、二日酔いだと小説書けないじゃないですか。だからなんとか回復しようと、インスタントのあさり味噌汁飲んだり、お豆腐食べたりして。
回復した頃にはもう、昔の結果なんてどうでもよくて。今書かなきゃいけないものに自然と集中できますね。
もちろん、推奨は致しません。

——執筆中で最も楽しい瞬間はいつですか?

トモユキ 自分で読み返して、小躍りするくらいめちゃくちゃ面白い時。
もしくは、推敲しててめちゃくちゃ面白い文章を思いついた時。
僕のターゲット層は僕なので、僕が面白いと感じた時が一番満足できます。
あとは、人からの感想もらえた時……もちろん嬉しいです!です!

——長編作品を執筆する際に最も挑戦的だと感じることは何ですか?その際にどのような対策を取っていますか?

トモユキ 挑戦的とは、難所だと感じる事でしょうか。
まぁ……プロットですね。
経験上、プロットの時点で面白ければ、面白い小説が書けます。
逆にプロットが面白くないと、面白くない小説になるはずです。面白くないプロットはそもそも書かないので、定かではないですが。
例えば、プロットを書かない、プロットを煮詰めないで書き始めると……まぁあんまりうまくいかない事の方が多いです。
長編小説の構成手法はいくつかあって、神話の法則とかよく参考にしてますけど、
結局のところアイディア勝負ですね。
アイディアが斬新で面白く、ラストまできっちり筋の通ったストーリーが組みあがれば、勝ち確な小説が書けるでしょう。
そういうプロットを作るためには……とにかくよく考えます。
四六時中、寝ても覚めても物語に想いを寄せる。シャワー中と買い物中が良いアイディアが浮かぶ鉄板イベントなので、一日に何度もシャワー浴びたり、近隣スーパー全部回ったりします。

——日常生活と執筆活動のバランスはどのように取っていますか?一日のうち、どれくらいの時間を執筆に割いていますか?

トモユキ 僕は専業作家なので、極端に言えば朝9時~夜12時頃まで書いてます。
当然そんなに集中力は長続きはしないので、途中で原神やったり麻雀ゲームしたり買い物したり料理作って食べたり風呂入ったりバイク乗ったりしてますけどね。
あとは、シナリオやドラマ作品原作のお仕事をちょくちょくもらってるので、その執筆等も含まれます。
まぁつまり、専業と言っても執筆する物語は兼業になるので、特定の物語執筆において兼業専業の差はそんなにないような気がしています。

——周囲に執筆活動を支えてくれる、または応援してくれる人はいますか?

トモユキ これがねぇ……いません。
強いて言えば、近所のマッサージ師さんでしょうか。
座りっぱなしの仕事ですから。作家はたっけえ椅子と、安くてウマいマッサージ師に支えてもらわないと、仕事が成り立ちません。

——ご自身の執筆経験をまとめて発表し、他の人を助ける試みをされたことはありますか?

トモユキ 質問の意味は、創作論を不特定多数の人にひけらかしたか? みたいな感じですかね?
とある投稿サイトで、連続1000日毎朝エッセイを書いてたんですけど、そこでは何度か創作論を書きましたね。
ただしそれは、迷える創作者を助ける試みではなく、どちらかというと。
ここまで考えて書いてる俺カッケー的な、自己顕示欲と。
ここまで考えて書いてる俺落選バッカー的な、自虐ネタ。ですかね。
創作論なんて人それぞれですし、良さそうだなと思ったら取り入れて、ダメなら他の方法を模索すればいいと思います。野球のバッティングフォームみたいなもんです。
大谷翔平選手のバッティングフォームを真似しても、誰も大谷選手にはなれません。
良いと思ったところを取り入れる、自分なりに取捨選択、アジャストする能力が、大事なんじゃないかなと思います。

——作品を読んで応援してくれるファンに向けてどのような言葉を贈りたいですか?

トモユキ 読んで頂きありがとうございます。楽しんでくれてたら嬉しいです!
という素直な気持ちと、
どうだ面白ぇだろ! 面白いと言え! あわよくば推せ!
という、ある意味よこしまで、素直な気持ちを贈りたいです。

——今後どのような作品を書いていきたいと考えていますか?

トモユキ 読んだ人がぼろぼろ涙するような、感動させられるような話が書きたいです。
昔は真逆で、人を笑わせる話が書きたかったんですけど……そういうのばっか書いてていざ泣かそうとすると、書いてる自分がこっぱずかしくなっちゃう事があります。
作家は尖った個性も大事だけど、同時にバランス感覚も大事だなって思っていて、
結局、笑わせて泣かせる小説が書ければそれが一番いいかなと、今は思っています。

——小説家としてのキャリアで達成したい目標は何ですか?

トモユキ ベストセラー作家になって、アニメ化に成功して、海外でバズりまくって。
宮崎駿監督みたいな権威になって、何書いても大ヒット間違いなしの状況で――、
好きなの一本書きたい。

——「ネオページ」に対してどのような期待を抱いていますか?

トモユキ 小説の面白さに、こだわってほしい。
例えばランキングにしても、一番面白い小説が1位を取るランキングシステムを構築してほしい。
そして流行り廃り、売れる売れないはあると思うけど、面白い作品はどんどん電子書籍化して作家デビューさせてほしい。
紙の書籍にこだわる作家は(一時期よりも)少なくなったと思う。どうしてもって人も、書店に自分の本が平積みされてるところを見てみたいって人が多いから、CGでそういうサービス作って、写真撮ってあげれば満足すると思う。(僕はそれで満足)
あと、海外販売に力を入れてほしい。
海外展開に保守的な日本の出版業界において、漫画、アニメの次に海外に出て行くべきはラノベだと思う。もちろん翻訳とか色々ハードルは高いと思うが、Bookliveさんのように自社IPを育てて海外展開させちという戦略は、他社との協力関係も作りやすい。
後発のネオページが、今からなろうカクヨムに比肩する第三のプラットフォームになるとはちょっと思えない。それよりも独自戦略、彼らとは全く違うアプローチで、斜陽イメージのある出版業界を盛り上げていってほしい。


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